4-1 専用ツールの特徴

前述のポイントを押さえたHACCP文書化専用ツールとして、『HACCPクリエータ』という製品があります。このツールは「HACCP7原則12手順」のうち、原則1~7、手順2~12を網羅しています。そしてこのツールの特徴ですが、フローダイアグラムの作成・修正が簡単にでき、フローダイアグラム上の各図形の中にHACCPに必要な関連情報を登録していきます。その登録した情報を指定の管理表として自動的に出力できるのが大きな特徴です。また、出力した各管理表を修正してフローダイアグラムへ戻して修正内容を反映することも出来ます。概要は図4をご参照ください。

このツールがエクセルなどのオフィスツールと大きく異なる利点は、作成・管理する文書はフローダイアグラムだけになることです。よって、フローダイアグラムをマスタデータとして管理すればよくなりますので、作業工数が劇的に下がります。オフィスツールで作成する場合のように、フローダイアグラム・ハザード分析表・重要管理点一覧表等を個別に管理する必要がなくなるという大きなメリットを文書作成者は享受することが出来ます。また、ツールというと何となくハードルが高いイメージがありますが、このツールは、初心者でも簡単に扱え、教育・訓練に時間がかからないことも大きな特徴のひとつです。

図4:HACCPクリエータの概要

図4:HACCPクリエータの概要

 

4-2 専用ツールによる課題の解決

ではこのツールの利用によって、先程あげたHACCP文書化作業における課題である、

  1. ノウハウ不足
  2. 低い生産性
  3. 品質

という3つの問題をどのように解決できるか確認していきます。

まず、①ノウハウ不足という問題ですが、この問題に関しては、このツールではHACCPに必要な情報を網羅したテンプレートをすでに準備しています。当然ながら必要な図形もすでに用意していますので、認証に必要な条件を満たしたHACCP文書の作成作業にすぐに着手出来ます(図5参照)。もちろん書式などの細かい対応を意識する必要もなく作成・修正作業を行うことが出来ます。

図5:ノウハウ不足をツールで解決

図5:ノウハウ不足をツールで解決

 

次に②生産性という問題ですが、このツールは一般的なツールに比べ、初心者にも操作が楽にでき、かつ圧倒的な生産性をもっています。このツールをご利用頂いているユーザー様からは「フローダイアグラムだけでもエクセルなどのオフィスツールに比べ、5倍以上も効率的に作図でき、ハザード分析表・重要管理点一覧表等も含めると10倍以上効率的に作成できる」とご評価をいただいていますので、効率的に文書が作成・修正できることは間違いありません。

最後に③品質の問題ですが、このツールでは、フローダイアグラムから自動的にハザード分析表・重要管理点一覧表等の作成を行うことが出来ます。また、インポート機能により、出力された文書を修正してフローダイアグラムに取り込むことが出来ますので、完全な整合性が確保されたHACCP文書の作成・修正作業を支援します。オフィスツールでそれぞれの文書間の整合性が取れているかを確認しながら作業するといった非効率的な作業に時間を費やす必要はなくなります。

ここまではHACCP文書化における課題をツールがいかに解決して、どれだけ作業が効率になるのか定性的な面を見てきましたが、ここからは定量的なデータを比較して、どのような効果があるかをご説明します(図6参照)。

図6:HACCP文書作成効率比較

図6:HACCP文書作成効率比較

 

例えば、HACCP文書化作業に、マネジャーと担当者2人が1ヶ月張り付きで対応した場合、それぞれの人件費を合算して100万円/月がコストとして発生したとします。この場合ツールを利用した場合と利用しない場合でどれだけ生産性に差が出るかについては、先程のユーザー様からは10倍以上の生産性UPというコメントを頂きましたが、少し控えめに5倍の生産性が上がった(作業工数が5分の1で済む)場合を比較してみます。その場合、単純にコストは80万円の差(100万-20万)が出てきます。もちろん認証取得後に発生する文書の修正作業や、作成対象となる製品数も考慮すると更に大きな効果が出てきます。

以上のことからコスト削減への効果も非常に大きく、前述の「経営的な視点から見た際の本業への影響」についても確実に軽減されます。このようにツールを利用することにより、HACCP文書化作業の効率は飛躍的に高まりますので、本来の目的である食品安全のためのPDCAサイクルを円滑にまわすことに、大きく貢献できることは間違いありません。

 


寄稿記事『HACCPクリエータが実現する効率的なFSSC22000の構築・運用』

1.FSSC22000でも必要とされるHACCP文書作成のポイント
2.HACCP文書化作業における課題
3.課題解決のための有効な手段とは
4.HACCP文書化専用ツール『HACCPクリエータ』
5.HACCP文書を業務マニュアルとして活用
6.まとめ


 

本記事の執筆者
株式会社サン・プラニング・

株式会社サン・プラニング・システムズ

業務プロセスの可視化による業務改善やリスクマネジメントを推進。専門ツールiGrafx(アイグラフィックス)を活用した支援実績多数。国内導入実績2000社。