【内部統制の課題】3点セット作成におけるツール導入のメリットとは?

内部統制とはどのようなものか内部統制の実現は、健全な組織の成長を促すために欠かせません。内部統制は、組織の規模に応じて実際に義務化されていますが、内部統制の実施を義務の対象ではない企業でも行うことにより、成長基盤を揺るぎないものにすることができます。この記事では、内部統制を実現するためにどのような課題があるのか、また、課題解決に役立つツールのメリットにどのようなものがあるか、解説します。

内部統制とはどのようなものか

経営者が組織の効率性と健全さを両立した経営ができるようにするための仕組みのことを内部統制といいます。高く社内の管理体制をマネジメントすることにより、矛盾なく整い、一体感のある組織的な活動が可能になります。企業は、内部統制を推し進めることにより、主体的に業務上の無駄を解消し、効率の良い手法の確立を進めることができたり、セキュリティ教育を社員へインシデ促進することによりントリスクを回避したり、組織のブランド力を財務報告の信頼性の向上によって強化したりすることができます。

経営者一人で内部統制を実現させ、達成できるものではありません。社内を適切に監視できるフレームワークを用意する必要や、課題解決につながる仕組みづくりなどが求められるため、大きな組織改革に発展する場合があるためです。

内部統制の種類にはどのようなものがあるか

内部統制の種類

内部統制には大きく分けて、
● J-SOX(金融商品取引法)がもとになっている内部統制
● 会社法がもとになっている内部統制

という二種が挙げられます。基本的に内部統制の多くは、前者のものを指しますが、ここでは上記の二種類の違いについて知っておきましょう。

J-SOX(内部統制報告制度)がもとになっている内部統制

J-SOXがもとになっている内部統制

J-SOXは、上場企業を対象とした、金融商品取引法によって義務付けられている内部統制です。義務付けられている理由として、財務報告の信頼性を高めるためであり、透明性の高い情報共有と会社経営を、投資家に対して表す上で不可欠な存在です。

J-SOXの目的として
● 業務の効率性と有効性
● 信頼できる財務報告
● 関連法規を遵守する
● 資産を保全する

という4つの項目と、

● 統制の環境
● リスク評価とそれへの対応
● 統制活動
● 情報と伝達
● モニタリング
● ITへ対応する

という6つの要素を揃えた内部統制の実施が求められています。ただ制度を仕組み化させるのではなく、仕組みを実行するためのIT活用が必須といえます。そして、内部統制のアプローチにも積極的なデジタル化が、デジタルトランスフォーメーション(DX)の普及に伴い必要になっています。

会社法がもとになっている内部統制

会社法がもとになっている内部統制

もう一つは、会社法がベースとなっている内部統制です。こちらはJ-SOX法をベースとした内部統制とは異なり、大会社や取締役会を設置している企業が対象となります。目的別に比べると、J-SOX法がもとになっている内部統制は財務報告書の信頼性確保であり、会社法がもとになっている内部統制は業務の適正確保を実現するためのものとされています。また、罰則についてみると、J-SOX法は5年以下の懲役または500万円以下の罰金が課されますが、会社法の内部統制は罰則がありません。このように、運用方法に大きな違いがあるので注意しましょう。

内部統制の3点セットとはなんでしょう

内部統制の3点セットとは

3点セットと呼ばれる以下の文書を、内部統制を適切に管理する上では用意することが不可欠です。それぞれの役割について、以下に解説します。

業務記述書

業務内容を明文化し、文書としてまとめたものが業務記述書です。会社によっては、口頭によって各部門の業務が指示されていたり、口頭のみで共有されたりするケースも少なくなく、人に依存した業務形態が当たり前になっている場合があります。

しかしこのような状況は内部統制の観点から言うと、客観性に欠けています。また、課題の発見も不利になるといえるので、推奨できません。業務記述書を作成し業務内容を全て紙に書き出すことは、内部統制を実現させるために業務を俯瞰的に捉えたり、課題点を発見するのに役立ちます。

フローチャート

フローチャートは業務の工程を図に表したもので、容易に業務の流れを掴めるよう促すものです。その業務が全体の工程の中のどの過程にあるのか、業務同士がどのようにつながり合っているのかとても分かりやすくなるため、業務改善や業務の把握には欠かせない文書といえます。図式化した業務フローにより、業務上のリスクがどんなところに発生しているのかを発見することができます。

リスクコントロールマトリックス

各業務を洗い出したのちに、それぞれの業務に潜在しているリスクを書き出し、その対応方法を記述するものをリスクコントロールマトリックスといいます。業務に対してのリスクの認識をどのくらいしており、リスクに対してどのくらい対応できているかを明確にするので、リスクコントロールの適切な推進には不可欠です。

内部統制の課題とは

内部統制の課題

運用を長い間続けていると現れてくる課題に対処することも、内部統制を実現する上で必要になります。どのような課題が内部統制を継続する上で現れてくるのか、確認しておきましょう。

非効率なまま改善されていない運用フロー

内部統制が義務化されてから経過した年数によっては、既存の業務フローが周囲の環境の変化により時代遅れとなってしまう場合もあります。例えば、10年以上前の業務プロセスを、すでに便利なツールが出ているのにも関わらず継続しているならば、相対的にみて業務効率は低いものとなってしまいます。

運用フローの見直しを行い、適切なものにすることにより内部統制を実現する必要があります。

深刻化する人手不足

人手の確保が以前よりも難しくなったことで、内部統制への人材が減ってしまったケースもあちこちでみられます。人手が不足の原因は、市場から労働人口が減少しているという部分もありますが、業務負担の増大や、従業員の離職により対応ができなくなっているのです。

負担を業務の効率化によって軽減したり、人材の適材適所の配置、人材確保の実現をする必要があるでしょう。

多様化する働き方への対応

従来からのオフィスワークを脱却し、リモートワークの導入を行っている組織では、業務プロセスが従来とは異なるものが必要になったケースも見られます。働き方の変化により、内部統制の評価基準を従来のものとは変更する必要があるのにもかかわらず、対応できていないなら、コントロールが適切でないという問題も起こりうるでしょう。

業務の属人化

一部の人間に、内部統制を任せきりにしてしまうと、そこに業務負担が集中してしまい、その業務を彼ら以外が担えなくなるという問題が起こるかもしれません。いわゆる業務の属人化が進んでしまうと、業務は過度に依存し、彼らが退職などした際には、大きな被害が生じる恐れがあります。

属人化を脱却するために、幅広い業務の共有や標準化が必要です。

老朽化するシステム

内部統制導入当初から同じシステムを使い続けていると、OSやソフトの老朽化が次第に進み、サポートの終了もあります。特殊な技術が必要となる、サポートが終了しているシステムのメンテナンスの維持管理コストは、大きくなっていくばかりです。また、最新のシステムよりも効率が劣るというケースも珍しくないため、業務効率は相対的に悪化していくといえます。

内部統制ツールを使うメリット

内部統制ツールを使うメリット

内部統制ツールは、このような状況を解消するために活躍します。内部統制ツールは業務フローチャートを作成し、メンテナンスを実施します。また、特化したサービスとして業務記述書の作成を提供し、担当者の負担を減らします。一から内部統制システムを構築する必要がなく、文書をテンプレートを使って素早く作成できるので、日々の業務効率化ができます。

また、全ての文書や進捗をツールを通じて保管・共有できるので、業務での属人化を避け、情報共有を速くできるようになるという効果も期待できます。文書間の整合性も取りやすいので、文書の作成にかかる労力を抑えることもできます。内部統制の効率化を検討しているならば、導入を積極的に検討したいシステムです。

まとめ

企業によっては内部統制の実施は義務化されているため、必要不可欠の業務といえるでしょう。一方、内部統制を長期間にわたっ実施していると、内部統制そのものの業務負担が大きくなってしまいがちです。そのため、適切なタイミングでの改善が必要です。改善には内部統制に特化したツールの導入をするなら、まとめて、それら内部統制の課題を解決することができます。負担を減らすことにより、コア業務に集中するためには、積極的なツール活用が良いといえるでしょう。

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