BPMNの使い方
前回のエントリでは業務プロセスフローを記述する上での概念についてお話ししました。
今回は業務プロセスフローを作成するにあたり最適な記述法についてお話しします。
私は、BPMNが業務プロセスをフローチャートに書き表すために最適な記述法だと考えています。
ご存知の方も多いとは思いますが、改めてBPMNについて紹介します。
BPMNは業務プロセスを設計することを目的とした国際標準の表記法です。
(「表記法」というよりは「言語」として捉えたほうが適切だと私は考えていますが、このあたりは別の機会に改めてお話ししようと思います。)
BPMNは世界各国のビジネス関係者が、同一の観点で業務プロセスの流れを理解できることを目的としています。最大の特徴は「業務プロセス」を記述するために設計されているという点にあります。
BPMNについては多くの問い合わせをいただいており、皆様の関心が高いことがうかがえます。ですが、実際にお話を伺うとうまく活用されていないようにも見受けられます。
どこに問題があるのでしょうか。
BPMNは業務プロセスを記述するための言語であり、業務手順を記述するものではありません。またBPMNはマネジメント層をはじめとした業務に係る全ての人(ステークホルダー)向けの表記法であり、企業を構成する全ての人員が関わるために考案された表記法です。
前回説明したプロセス階層に照らし合わせると、「①外部との関係性」層から「④ 業務詳細」層までがBPMNの対象範囲になります。業務手順を記述する「⑤ 業務手順」層以下ではBPMN以外の表記法で記述したほうが適切です。
もう一つ、BPMNで業務プロセスを記述するにあたっては、業務プロセスはコンピューターのプログラムと同じと捉えて設計する意識を持つ必要があります。これが、基幹システム導入時にBPMNを使用するメリットとなります。
BPMNで業務プロセスを書くメリット
BPMNで業務プロセスを書くメリットとなる具体的な特徴を以下に3点挙げます。
・業務プロセスを部品化(オブジェクト化)することに長けている
・プログラム言語に近い性質を持つ
・階層的に業務プロセスを表現できる
第2回のエントリで、業務プロセスの概念について図示しました。入出力帳票に着目した業務プロセスは、それぞれがインプット帳票に対してアウトプット帳票を出力する部品(オブジェクト)として表記することができるという部分です。これは、オブジェクト同士を繋げる、または組み合わせることで企業の業務プロセスが構成されているように表現できるようになることを意味します。
この表現はコンピュータープログラミングで言うところの、オブジェクト指向でシステムを設計することとまったく同じです。結果として、SOAの観点で企業の業務プロセスを把握し、モデル構築することが可能となります。
基幹システム導入を検討する場合、多くの場合は業務プロセスをシステムに置き換えることで業務改善を図ることを目的とします。
システム側で用意されている機能は、それぞれがインプットに対してアウトプットを出力する部品であると考えられます。
つまりインプットとアウトプットが適合する範囲であれば、業務プロセスはシステムに丸々置換できることを意味します。
このように、業務プロセスと導入検討中の基幹システムの機能を比較・分析し、企業のあるべき姿を構築するという点において、BPMNを使用して業務プロセスフローを作成するメリットは大きいと考えられます。
次回は業務プロセスの現状とあるべき姿の分析についてお話しします。
[NEXT]→第5回 現状が分析できないと始まらない!
株式会社サン・プラニング・システムズ
・業務の棚卸
・業務の可視化
・業務フロー型マニュアル構築
・内部統制文書作成/コンバート
・RPAツール導入支援/シナリオ構築