【はじめてのDX推進 ~社内プロセス改善者の奮闘記~】
第2回 : 業務可視化への第一歩!業務棚卸 あなたは本当にすべての業務を知っていますか?

 


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課せられた任務、DX推進!
~そもそもDXって?何から手を付つけたら良いの?~
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塚田
山口さん、今日はお時間とっていただいてありがとうございます!さっそくなんですが、一体なにから手をつけたらいいのでしょう?
コンサルタント 山口
そうだね。まずは会社全体の業務を可視化することから始めるといいね。

塚田
業務の可視化って具体的にどんなことをするんですか?

コンサルタント 山口
業務の種類やそれぞれの業務の流れを表やフロー図に書き出したりするね。現状を「見える」ようにしないと、現場・経営陣の双方に納得感がある成果を得られないんだ。

塚田
確かに今回は現場も経営陣もそれぞれ問題意識をもっているので、両方にメリットがある改善をしたいです!

コンサルタント 山口
気を付けないといけないのは、可視化はゴールに向かうためのスタート位置を知るための手段だから、可視化自体が目的にならないようにするということだね。

塚田
よーし!早速可視化を始めてみよう!業務の流れを理解しないといけないので、フロー図を描いてみればいいんですよね?

コンサルタント 山口
もちろんフロー図を描くことも必要だけど、そもそも塚田君は会社全体で実施しているすべての業務を把握している?

塚田
まあ、なんとなくは…

コンサルタント 山口
今回はどの業務を改善すべきかが不明瞭だから、全体の業務を書き出して、「業務棚卸」をしてみるといいね。

塚田
業務棚卸ってなんですか?

コンサルタント 山口
業務棚卸は、今この会社で行われているすべての業務を書き出して、整理することだよ。
コンサルタント 山口
部門の業務を体系的に整理して、業務名を一覧にした業務一覧表を作成するんだ。

塚田
すべての業務…(ちょっと大変そうだなあ…)棚卸をやらずにフロー図を描き始めちゃだめですか?

コンサルタント 山口
棚卸をすることで共通、個別の業務がどこにあるのか、どの組織がどのような業務をどこまでしているのかを把握できるし、それぞれの業務のボリュームや難易度を明確にすることで、業務改善のスコープや優先順位だったり、その関係者を決定することができるんだよ。
コンサルタント 山口
最初は大変かもしれないけど、業務一覧表を作っておくことでフロー作成などの業務改善活動にも役立つんだ。
コンサルタント 山口
実際に業務棚卸をしないでフロー図を描き始めたお客様がいたんだけど、業務の区切りが明確になっていないために何度も書き直しになってしまったんだ。

塚田
なるほど!手戻りの時間がない分、結果的に時間短縮することができそうですね!

塚田
さっそく業務棚卸を始めようと思うんですが…一覧表を各部に配って書いてもらえば良いでしょうか?

コンサルタント 山口
そうだね、現場に書いてもらうのも1つの手だね。棚卸の手法としては大きく2つの方法があるんだ。
コンサルタント 山口
1つ目は『ボトムアップ構成』といって実際に行われている業務や作業を列挙し、その中から共通するものをグループ化していく手法だよ。
コンサルタント 山口
2つ目は、『トップダウン分解』といって対象とする業務範囲を構造的にとらえ、上位階層から段階的に整理する手法なんだ。さっき塚田君が言っていたのはボトムアップにあたるかな。

塚田
なるほど、どっちの方法が良いとかあるんですか?

コンサルタント 山口
それぞれいいところはあるんだけど、2つの手法を組み合わせることでより実態に沿った業務棚卸表を作成することができるんだ!

ポイント①
  • トップダウン

進め方:対象とする業務範囲を構造的にとらえ、上位階層から段階的に整理する。
ヒアリング対象者例:経営層、管理職

  • ボトムアップ

進め方:実際に行われている業務や作業を列挙し、その中から共通するものをグループ化していく。
ヒアリング対象者例:管理職、業務担当者

※1人だと漏れも発生するため、複数名に実施してもらうとより良い
2つの方法を組み合わせることで、より自社の業務構造に沿った抜け漏れのない棚卸表を作成できます。


塚田
上からと下から両方からアプローチするということですね!!

塚田
では、早速現場の方にからの一覧表を配って書いてもらいます。私は組織図をみて上位階層の表を作成してみます。

コンサルタント 山口
上位階層の分け方として、単純に組織で分けるのもいいけど、折角の機会だから自社の業務構造を理解して業務棚卸表を書いてみるといいかもね。
ポイント②

業務棚卸を行うには、まず自社の組織構造を理解すると良いでしょう。組織構造は大きく3つに分類されます。①企画部・製品開発部・製造部・…のように『機能』を軸に分けられた組織、②デバイス事業・空調事業・電気事業・…のように『事業(サービス/顧客/製品など)』を軸に分けられた組織、③①と②の混合型です。

そのため、どのような業種の顧客がいるか、どういう商流で受注しているか、など企業のステークホルダーを把握しておくと組織構造が理解でき、業務構造の大枠となる上位階層の名称も決めやすいです。

 

塚田
単純に部署名で上位階層を分けるのではなく、業務機能で分けておけば、今後組織変更があった時にも棚卸表の大きな修正が発生しないですね。

コンサルタント 山口
うんうん、各業務担当者を業務棚卸表の横に星取表をつけて表現してもいいかもしれないね。

塚田
はい、作成してみます!

 


 

塚田
山口さん、トップダウンで作成したものは管理職の方にもチェックいただいて作成できました!ただ…担当者の方に書いていただいた一覧表の書き方がバラバラで…

コンサルタント 山口
フォーマットは統一されてたと思うけど、別シートでサンプルをつけてあげるとどんな粒度感で書けばよいのかが伝わりやすいよ。

塚田
たしかにそうすると、みんなにサンプルと同じような区切り方を意識してもらえますね。

コンサルタント 山口
あと、書いてもらったものをさっと見ると、「請求」という言葉で書かれているけど、請求の業務はどのお客さんとのやり取りでも全く同じ流れになるの?

塚田
うう…同じ請求業務でもお客さんによって使用するツールや必要書類が違う可能性がありますね!

塚田
パターンについても意識して再度担当者の方にヒアリングしてきます。

ポイント③
同じ業務でも取引先や取り扱う商品によって、手順が異なることがあります。手順が異なるということは、「請求業務」を改善対象としたとしても全てのパターンを同じ方法で改善できるとは限りません。そのため、業務棚卸ではこのような業務の“パターン”も洗い出しておく必要があります。

 

コンサルタント 山口
あ、あときれいな業務棚卸表を完成させることが目的にならないようにね!
コンサルタント 山口
今回の業務改善のスコープのある程度絞る必要もあるから、スコープ選定に役立つ要素も一緒に聞いてみるといいよ。
コンサルタント 山口
そうすることでこの後の改善の優先順位も定まってくるしね!
コンサルタント 山口
例えば、業務負荷(かかる時間や工数)がわかると、多くの時間を費やしている業務が見つけられたり、属人性と業務スキル(難易度)を掛け合わせることで、リスクヘッジすべき業務がわかったりするね。
コンサルタント 山口
あとは業務にかかるコストと業務スキルを掛け合わせると、標準化・自動化を検討したほうがいい業務が見えてきたりするんだ。

塚田
そうですね、目的を見失わないように心にとめておきます。それではヒアリングに行ってきます!

 


 

 

塚田
ふ~、なんとか業務棚卸完了しました!

 

コンサルタント 山口
お疲れ様!今回の業務改善のスコープは見えてきた?

塚田
そうですね…いろいろ問題は見えてきましたが、川井部長からDXで業務改善するというミッションが与えられているので、インパクトのある業務から取り組んでいきたいと思います!

塚田
それにしても、業務がこんなにたくさんあるとは思いませんでした…一つひとつでどのような手順で行っているのか知る必要がありますよね?

コンサルタント 山口
そうだね。それはまた次の機会に話そう!

第3回はこちら
プロセスを可視化してみよう!
~業務フローはどのように書いていけば良いの?~
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