先に結論
- 問題意識とは、現状と望ましい状態の差に気づき、放置せず自分ごととして改善しようとする意識です。
- 「問題意識を持て」と気持ちだけを求めても定着しません。目的・目標・判断基準を明確にし、現場の事実と比べる習慣が必要です。
- 業務改善では、業務フローに待ち時間、手戻り、判断の迷い、重複作業を書き込むと、漠然とした違和感を具体的な改善テーマへ変えられます。
問題意識とは?意味をわかりやすく整理
問題意識とは、ある状況の重要性や改善の必要性に気づき、主体的に関わろうとする意識です。ビジネスでは、単に不満を感じることではなく、「本来どうあるべきか」「現状はどうか」「差は何か」を捉え、行動につなげる姿勢を指します。
たとえば「申請業務が大変だ」は感想の段階です。「申請から承認まで3日かかり、うち2日は承認者待ちになっている」と事実で表すと、確認すべき問題が明確になります。
| 言葉 | 意味 | 業務での例 |
|---|---|---|
| 問題意識 | 現状と望ましい状態の差に気づき、重要な問題として捉える意識 | 承認待ちが長く、顧客回答が遅れている点を改善すべきだと考える |
| 課題意識 | 問題を解決するため、取り組むべきテーマを明確にする意識 | 承認条件を標準化し、迷いと差し戻しを減らす必要があると考える |
| 危機意識 | 放置した場合の損失や危険を認識する意識 | 回答遅延が続けば失注につながると捉える |
| 当事者意識 | 自分の役割や行動との関係を認識する意識 | 他部署のせいにせず、自部署から改善できる情報共有を考える |
問題意識が高い人・低い人の違い
違いは性格だけで決まりません。目的、判断基準、情報、発言しやすさといった職場環境にも左右されます。個人に「意識を高く持て」と求めるだけではなく、問題を発見しやすい仕組みを整えることが重要です。
- 問題意識が高い状態:目的や基準と現状を比べ、違和感を事実で説明し、小さくても次の確認行動を起こす。
- 問題意識が低く見える状態:従来手順を前提にし、目的や基準が曖昧なまま、違和感があっても言語化・共有しない。
- 組織側の確認点:目標が共有されているか、現場データを見られるか、問題提起が批判として扱われていないか。
問題意識を持つための5つの習慣
- 仕事の目的を一文で確認する:作業そのものではなく、誰にどんな価値を届ける業務かを確認します。
- 望ましい状態を数字や条件で決める:「早くする」ではなく「翌営業日までに回答する」のように基準を置きます。
- 違和感を事実でメモする:いつ、どこで、何が、何件起きたかを残し、感想や推測と分けます。
- 例外・待ち・手戻りを探す:通常手順だけでなく、差し戻し、再入力、確認待ち、担当者ごとの違いに注目します。
- 週1回、問題を共有する:解決策を急がず、まず問題の場所と影響をチームでそろえます。
問題を見つけた後は、すぐに対策へ飛びつかず、原因と結果を分けて確認します。詳しくは原因と結果とは?原因分析の進め方も参考にしてください。
業務フローで問題意識を具体化するチェックポイント
記憶だけで問題を探すと、印象の強い出来事に偏ります。業務フローを使い、作業を順番に追いながら次の観点で確認すると、問題の場所と前後関係を具体化できます。
| 見る場所 | 確認する質問 | 問題の書き方例 |
|---|---|---|
| 受け渡し | 誰から誰へ、何を、どの条件で渡すか明確か | 営業から管理部へ必要項目がそろわず、月20件差し戻される |
| 待ち時間 | 処理していない時間はどこにあるか | 承認者の確認待ちが平均2営業日発生する |
| 判断・分岐 | 担当者によって判断が変わっていないか | 例外処理の基準がなく、担当者ごとに承認経路が異なる |
| 重複・転記 | 同じ情報を何度も入力・確認していないか | 顧客情報を3つの台帳へ転記し、入力ミスが発生する |
| 例外・手戻り | 通常ルートから外れるケースと戻り先は明確か | 不備発生時の戻り先が曖昧で、確認が複数部署を往復する |
業務フローの記号や分岐を整理したい場合は、フローチャート記号一覧もあわせて確認してください。
問題意識に関するよくある質問
問題意識を持つとは、常に不満を探すことですか?
いいえ。不満を並べることではなく、目的や望ましい状態と現状の差を捉え、改善の必要性を考えることです。良い点を残しながら、変えるべき点を事実で見極めます。
問題意識がない部下にはどう伝えればよいですか?
「意識を高く」と抽象的に求めるより、仕事の目的、望ましい基準、確認する数字を共有してください。そのうえで、週次の振り返りなど問題を言語化する場を設けます。
問題意識の例文はありますか?
「申請から承認まで平均3日かかり、顧客回答の目標である翌営業日を超えているため、承認待ちの原因を確認する必要がある」のように、現状、基準との差、影響、次の確認を一文にすると伝わりやすくなります。
問題意識とは ~問題意識の高い方、低い方~

はじめに、問題意識について述べます。
時代の変化が激しい今日は、常に向上心を持ち、日々改善に取り組んでいかないと取り残されてしまいます。多くの企業で、発生した問題を解決するために“改善活動”が展開されています。また、人材採用では問題意識を持った人材が重宝されています。
しかし、「問題意識を持つように」と言われ、皆さんはすぐに問題意識というものを持つことはできますか。「それができたら、苦労をしない」、「問題意識を持つためには何をしたらいいのだろうか…」と思う方もいることでしょう。
問題意識とは、次のような視点を持つことで高めることができます。
問題意識を高めることができる要素
(1) 現状に常に不満を持つ(向上心)
(2) 現場を観察する癖を持つ(注意力)
(3) 仕事に対する熱意を持つ(使命感)
(4) 他にもっとうまいやり方はないか考える(好奇心)
(5) 常識・暗黙ルールへの疑問
(6) 問題とは何かを常に考えている
(7) 失敗を二度と起こさない(再発防止) 等
以上は、代表的なものですが、これらを日頃から意識していることで、問題意識を高め、身に付けることができるようになります。
では、問題意識を持てない理由は何でしょうか。
問題意識を持つこと妨げてしまう要因
(1) 現状に満足している
(2) 仕事に目的を持てない
(3) 従来の仕事のやり方に慣れている
(4) 今さら言っても始まらないと思っている
(5) 不平不満を言うだけ
(6) 言われたこと以外は仕事ではないと思っている
(7) 環境変化に気付かない
(8) 目標がない
(9) 仕事の具体的なイメージが持てない
(10) 問題の発見方法を知らない 等
以上のようなことが、問題意識を持つことへの妨げとなってしまいます。
問題意識を身に付けるためには
めまぐるしい毎日を過ごす中で、問題意識を持ち続けることは大変です。ふと振り返ったときに、時間の経過に流されている自分に気付くこともあるでしょう。
ここで重要なことは、問題意識を持つことを習慣付けることです。そのための第一歩として、目標や目的を設定すると良いでしょう。理由は、設定した目標や目的を達成するためには、どのような行動や判断をしたらよいか考える必要が生まれるからです。具体的には、現場を観察して適切な判断をとることや、より効率的に、よりやりやすい方法を考えてから行動に移すことや、同じ失敗をしないように行動することなどが考えられます。これは、先述した問題意識の高める視点に等しいことです。
問題発見の妨げ…的外れな問題発見をしないために
問題意識を身に付けることができると、いろいろと見えてくることがあります。たとえば、「自分の目標を達成するためには、今のやり方では効率が悪く、業務の質も悪い。違うやり方を考えないといけない。」と思ったりします。この場合、なぜ、今のやり方をしていると効率が悪く、結果として業務の質も下げてしまっているのか、その原因となる問題を発見しないといけません。そして、その原因を解決できる違うやり方を考えていきます。ここで大切なのは、的を射た問題を発見することです。的外れな問題を発見してしまうと、解決策も的外れなものとなり、何も解決されません。ひどいときには、余計な業務プロセスが増えてしまうなんてことも起こります。表層的な、一時的な問題ではないか、よく確認をする必要があります。
他にも、注意をしなければならないことがあります。それは、問題を発見できても、その問題は自分では解決できないものだから自分の問題ではないと判断し、目を背けてしまう。権限がない・マニュアルがない・明確な指示がない等の他責で理由づけ、何もしない。決めつけて物事を見てしまう。固定観念を捨てきれない等で何もしない。というようなことが起きないようにすることが求められます。
問題を発見するためには、自責で物事を観察し、決めつけや固定観念を捨てることが必要です。これは、問題意識を身に付けるために大切なことと共通しています。
業務フローを見ながら、問題を洗い出す
業務改善をするために、業務上の問題を書き出していく場面を思い浮かべてください。
まずは、業務改善をしたい業務を思い出すでしょう。そして、よくミスが起こる業務プロセスや、やりにくいと感じている業務プロセスが頭に浮かんでくるでしょう。私たちは、その浮かんできたことを付箋紙などの紙に書き出していくでしょう。
果たして、このとき、どれだけ鮮明に日常の業務を思い出すことができているでしょうか。毎日行っている業務の、すべての業務プロセスをきちんと思い出すことができているでしょうか。たまに行う業務の場合は、どうでしょうか。「こうだったっけ?」、「あぁだったっけ?」と記憶が定かではないことのほうが多いのではないでしょうか。
業務改善を目的とした業務の問題を洗い出すときに有効なツールが、業務フローです。なぜなら、日頃行っている業務の流れが見えるように可視化してある業務フローを使うことで、より鮮明に業務プロセスを思い出すことができるからです。また、業務の全体のどこの業務プロセスを指しているのかわかるからです。
業務フローを材料に、日頃の業務を流れに沿って確認してください。何気なく流れていると思っていた業務プロセスも、可視化されていることで流れがおかしいことに気づきます。昔からやってきたことだと言って、何気なく行っている業務プロセスが本当に必要な業務プロセスなのか疑問に思えてくることもあります。業務フローを活用することで、より具体的に問題を発見することができるでしょう。また、他部門の業務に対しても、業務フローを見ながら話ができることで、コミュニケーションが図れて、客観的な問題もより顕在化するでしょう。

業務改善で使える業務フローは、業務プロセスを分解して細かく書いてあるものに限ります。大きな括りで書かれている業務フローでは、問題を洗い出すときには活用することができません。なぜならば、細かい業務プロセスにこそ属人的なやり方やちょっとした工夫があるからです。これは、業務プロセスを分解してはじめて見えてくる部分です。
問題を洗い出すときには、自責で書き出していくことが大切です。たとえば、「情報が流れてこない」ではなく、「管理部門からの社内通知が共有されていない」等です。他の人が見たときにも、「誰が何をどうしたか」ということがわかるように問題を洗い出していきます。また、問題を洗い出しているのに、解決策を書き出してしまうことがよく起こります。問題と解決策をセットで考えてしまう気持ちはよくわかりますが、ここでは問題と解決策は分けて考えていきましょう。解決策は、洗い出した問題を分析してから考えます。分析した結果によっては、問題と解決策が一対一になるとは限りません。
まとめ
業務プロセスを細かく書き出した業務フローを使うことで、より具体的かつ客観的な問題を見える化することができます。さらに、ここに問題意識を持ち、自責で考える習慣付けができたなら、的を射た問題を洗い出すことができるようになります。これは、業務改善に限らず、日常の業務を遂行していくうえでも求められるスキルです。まずは、身近な業務を他責や決めつけ、固定観念を取り払って、自責で確認してみてください。意外な問題が、潜んでいるかもしれません。
カレンコンサルティングはPlanだけでなく、未来永劫に企業組織が自走できる自立的な組織構築を目指しています。 社員間、社員と経営者の関係性、信頼関係等も重視し、継続的に成長し続ける企業や組織であるためにハード/ソフトの両側面からPDCAの全ての工程に責任を持って関わっていきます。 理論的な知識情報だけに終わらせることなく、実存的な経験情報に基づきご支援をいたします。しかし、そこには明確なアカデミックな原理原則と根拠、方法論を示しながら、組織の学習サイクルにフィードバックしていき定着をはかります。
取締役 渡邊清香(わたなべ さやか)
【プロフィール】
- 新潟大学経済学部経済学科卒業
- 2005年:株式会社ピーエイ(東証二部上場)入社。事業計画策定、IR業務、決算説明会/株主総会資料作成等)、社内業務コンサルティング、人事制度構築、文書管理システム構築、社内会議体(経営会議、営業会議等)の運営等。
- 株式会社テムズ :マーケティングコンサルタント 、広告媒体の効果測定、マーケットリサーチ/アナリシス 等
- 中堅テレマーケティング会社 :経営企画室、コンサルティング事業部 コンサルタント。
- 2009年:株式会社カレンコンサルティングを設立、同社 取締役。企業の経営・業務コンサルティング、プロセス・制度設計等に携わる。
- 世古雅人、渡邊清香 共著
『上流モデリングによる業務改善手法入門』 (技術評論社)
- アイティメディア “@IT自分戦略研究所”
『プロセスコンサルティングのススメ!』 他

