01-業務の調査・棚卸・整理の進め方

業務が複雑化している現場では、普段から課題として認識されている業務以上に、隠れている目立たない業務にこそ問題や改善点が潜んでいることが良くあります。

こういった業務を見落としたまま業務プロセスの可視化を進めても、なかなか全体の最適化に至ることはできません。

そこで可視化の最初のステップは、現場にどのような業務が存在しているのか、きちんと網羅的に把握することから始めます。関係するすべての業務ご担当者の業務の棚卸しを行い、業務の見取り図となる“業務一覧表”を作成します。

 

業務調査票の活用

「業務の棚卸し」にはヒアリングや立会調査などいくつかの方法がありますが、対象部署・対象者が多数にわたる場合は、プロジェクトの担当者が直接調べるのは現実的ではありません。

その場合まずはアンケートのような形で業務ご担当者ひとりひとりに業務調査票を書いてもらい、各部署で取りまとめを行ってもらうと良いでしょう。

業務調査票はプロジェクトの目的に基づいて事務局で作成します。各部署の部門長に主旨を理解してもらった上で全担当者に配布し、それぞれの受け持っている業務の名前と概要をわかる限りすべて書き出してもらいます。

02-業務調査票

業務調査票

 

業務調査のポイント

1.業務調査票の項目

自由記述形式の項目は、回答にも取りまとめにも負担がかかります。聞き出したいことを明確にし、選択式で良い項目はできる限り選択式にしておきます。

回答者の役職、現部署での勤続年数なども集めておくと後々分析の手助けになります。同じ名前の業務が書いてあっても、役職やポジションにより内容が全く違うことはよくあります。

 

2.追加項目

業務名と内容だけでなく、プロジェクトの目的(業務改善・人員最適化・標準化)にとって必要となる業務の属性についても同時に情報を集めると効率的です。

たとえば課題整理、改善を目的とする場合は、現行のシステムや手順に対する要望や不満、こうしたら良くなるのにといった効率化へのヒントなども同時に記入してもらいます。

ただし「あったほうが良い」程度の意図が不明確な項目は、回答者と取りまとめ側それぞれの負担を増やすだけになってしまいます。アンケートでは回答の精度も限られていますので、回答しやすく目的も明確な項目に限定しましょう。

※目的に応じて追加する項目の例(緑色の部分が追加項目)

03-システム導入に向けた現場業務調査の例

追加項目の例①:システム導入に向けた現状業務調査
(クリックで拡大)

04-業務量調査・人員最適化の例

追加項目の例②:業務量調査・人員最適化
(クリックで拡大)

 

 

 

 

 

3.業務調査票の配布

必ず記入見本もセットで配布します。設問の意味が正確に伝わらないと意図した答えが返ってこず、取りまとめの手間が増えてしまいます。

業務調査票記入の優先順位が下がることを避けるため、業務調査票は直接事務局から配布せず、上長経由で配布・回収してもらうと良いでしょう。

 

4.業務調査票の記入

業務を書き出してもらう際は、日・月・年次の時間軸や、商品やサービスなどの取扱対象などいくつかの軸を用意して記入してもらうと漏れが少なくなります。

マニュアル等だけではなく帳票・データの現物や手書きのメモ、スケジュール類もチェックし、忘れている・隠れている業務がないかどうか確認してもらいます。

 

業務体系表の作成

あらかじめ部署毎に業務体系を作成してもらい、大枠となる業務の粒度、分類を決めておくと、とりまとめの際に漏れやブレを避けることが出来ます。

業務体系表は、部署の機能(職務分掌)をリストアップし、その「あるべき機能」を2~3段階に分解して作成します。

似たような機能を持つ部署がいくつかある場合は、できる限り分類の仕方が共通になるように調整しておくと、のちのち業務フローの再利用や共通業務の標準化検討がしやすくなります。

05-業務体系表

業務体系表

業務体系表と業務棚卸表(業務調査票で洗い出した業務を整理しもの)の関係性についてはこちらの記事を御覧ください。

→【業務可視化関連帳票】業務一覧表とは

 

 

業務調査票の回収・集約

業務調査票の取りまとめ

業務ご担当者が記入した業務調査票は、部署毎に取りまとめを行います。

重複している業務でも、書き出された業務の名称、分類、内容の粒度、用語などは担当者毎に異なっていることは少なくありません。

取りまとめの責任者は、必要に応じて記入者に確認しながら、リストにあがった業務について名称や粒度を揃え、業務体系図の分類に沿ってグルーピングし、一覧に整理します。

業務調査票の取りまとめのポイント

通常、業務が綺麗に分かれていることは少なく、一部重複していたり役割分担がされていたりするのが普通です。同じ名前の業務であっても機械的に統合してしまうと抜け漏れの原因になることがありますので、それぞれの詳細を十分に確認してからまとめるようにします。

粒度を揃えることは重要ですが、そのために必要な情報がなくなってしまうことがあります。粒度が異なる業務が多数ある場合は、無理にまとめず、階層を増やして対処した方が良い場合があります。

粒度が大きく複数の業務が含まれている可能性がある場合は、業務ご担当者に確認して分割するか詳細に記入してもらいます。

最終的に説明や記載が不足している項目があればチェックし、埋めてもらうようにします。

 

抜け・漏れ・ダブりの確認

一覧に整理された業務について、重複や抜け、漏れがないかチェックを行います。

チェックの精度を高めるため、トップダウン(業務体系表=業務分類)、ボトムアップ(業務調査票)の両方向からチェックを行うようにします。

抜け・漏れの3つのチェックポイント

①業務体系図に存在する業務分類が業務調査票に見当たらない→業務調査に漏れがある、業務体系図の分類が間違っている

②業務調査票に記入された業務(新業務、個社別対応等)が業務体系図の業務分類に見当たらない→業務体系図に漏れがある、本来は無いはずの業務(担当外業務、禁止業務等)がある

③業務体系表上、同様の業務分類だが、業務調査票に記入された業務にバラつきがある→業務調査に漏れがある、実際には業務が異なる(業務分類の見直しが必要)

 

 

【まとめ】業務調査で洗い出した現場業務は体系的に整理して活用する

業務調査票により洗い出された現場業務は、一覧表として整理されなければ、活用できません。「業務体系表の作成」の項でも触れましたが、業務を整理する際は組織体系等をベースにした業務体系に沿って整理すると、漏れやブレを減らすことが出来ます。

実際の業務可視化プロジェクトでは業務棚卸表(業務調査で洗い出した現場業務)と業務体系表を突き合わせた”業務一覧表”を作成し、そこから業務の可視化(業務フロー作成)の範囲を決めて、業務フローの作成フェーズに入っていきます。

業務可視化プロジェクトの円滑な進行の為には、業務一覧表の精度は非常に重要です。これから業務の可視化に取り組まれる方は、業務フローを書き始める前の「業務の棚卸し・体系化」も業務フローの作成と同様に重視してください。

 

業務の体系的な整理、業務一覧表についてはこちらの記事を御覧ください。

→【業務可視化関連帳票】業務一覧表とは

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本記事の執筆者
株式会社サン・プラニング・

株式会社サン・プラニング・システムズ

業務プロセスの可視化による業務改善やリスクマネジメントを推進。専門ツールiGrafx(アイグラフィックス)を活用した支援実績多数。国内導入実績2000社。