第3回 「原因と結果の因果な関係」

シリーズ業務改善④ 第3回 原因と結果の因果な関係

第3回は現象から原因へ掘下げていくことについてお話します。

 

「問題を書き出しましょう!」…はそのままでは役に立たない

株式会社カレンコンサルティング 代表取締役 世古 雅人 氏

株式会社カレンコンサルティング 代表取締役 世古 雅人 氏

よく業務改善の場面で、「付箋紙に問題を書き出してください」とか、皆さんの会社でも行うことはありませんか? その後、だいたいやることとしては、「1)貼り出す(共有)、2)グルーピング」の流れです。

前回(第2回)まで、“問題発見”からいきなり“問題解決”を行うのではなく、その間にきちんと「考えるプロセス」として“原因分析”を入れることが重要とお伝えしました。

図1をご覧ください。

図1 「現象」「問題」「原因」がごちゃ混ぜ

左から2列目は前述した付箋紙だと考えていただくと、出された問題(らしきもの)は人によって表現がバラバラであることは珍しくありません。左から1列目で示す「現象」「問題」「原因」のどれを指しているのかすらわからない場合もありますが、ここでは素直に上から順番に1対1に対応しているとしましょう。

しかし、命題として「問題を書き出してください」と言ったところで、現実には「現象」「問題」「原因」が混在する事態になりがちです。さらに悪いことには、これらを共有する時に発表者(問題を付箋で出した人)が、あれこれ余計な尾ひれを付けてきます。

一番右側の列に示したように全てが「事実」であればまだましですが、「意見」として言い切ってしまったり、根拠が曖昧な「推測」が含まれるにもかかわらず、問題だ!と言い切ってしまうことも。さらに、個人的な「感想」が全体にかぶってくると、余計にややこしくなります。

このような場合、グルーピングは書かれている内容で、一見それっぽく出来ますが、問題の深さ方向(浅い現象なのか、深い原因なのか)の切り分けは出来ていないことをまずは気をつけましょう。この状態では問題解決には何の役にも立ちません。ごちゃ混ぜをただ羅列した状態です。

 

因果関係を明確にする

“因果関係”という言葉があります。この意味は、原因とそれによって引き起こされる結果の関係性です。原因があるから結果が存在します。

模式的に図2に示します。

図2 原因と結果(因果関係)

現象と問題に当てはめて考えてみると、「問題が原因」で「現象が結果」になります。現象は問題ではないので、問題を引き起こしているものは何かと考えるとそれが原因になります。さらに、原因にはより深い原因が存在する場合がほとんどで、深ければ深いほど見えにくくなる特性があります。

因果関係は連鎖しています。問題を明確に把握し、把握した問題をきちんと解決するためには原因をいかに「正しく深く」掘り下げられるかが重要になります。

 

ごちゃ混ぜを整理してみる

先の図1のごちゃ混ぜを図2の因果関係に従い整理をしたものが、図3となります。

図3 切り分けから課題化、解決まで

第1回の図3のピラミッドも参考にしてください。皆さんの目に見えているものは「現象」です。もっと深い部分に本質的な原因が存在し、「解決をしないといけないという認識が伴った問題=課題」として定義をします。
したがって、問題が100個あるから100個解決しなければならないとはならず、実際の課題は50個かもしれません。極論ですが、このような場合は残りの50個はほっといていいのです。

 

「現象」から「解決」まで

問題が複雑になればなるほど、原因は多岐に渡ります。1つの原因が他の原因に影響を与えている場合もあります。そこでさらに、「なぜそうなっているのか?」を何度も問いかけて、原因の掘り下げを行うことで、本質的な“根っこの原因”に突き当たります。

これを図4に示します。本来の語源として右側に英語で示しておきます。

図4 現象から問題解決までの掘下げ

例えば、これがTPS(トヨタ生産方式)であれば「なぜを5回」として考えることが該当するでしょうし、現象から課題へ絞り込むことでトータルの問題数を減らす効果や、原因同士の関係性も見えてきます。

これまで何度か「考えるプロセス」とお伝えしていますが、図4中の「原因の掘下げ」と課題から解決への思考はとても重要です。プロセスによって解決することもあれば、情報システムによって解決することもあり、解決方法の手段は様々です。部門間の連携やコミュニケーション、管理職のマネジメントにメスを入れなければならない場合もあります。さらに、優先順位やリソースをどう配分するかも重要です。

次回はもう少し具体的に例を挙げながら一緒に考えてみましょう。

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本記事の執筆者

株式会社カレンコンサルティング

株式会社カレンコンサルティング 代表取締役 世古 雅人 氏

カレンコンサルティングはPlanだけでなく、未来永劫に企業組織が自走できる自立的な組織構築を目指しています。 社員間、社員と経営者の関係性、信頼関係等も重視し、継続的に成長し続ける企業や組織であるためにハード/ソフトの両側面からPDCAの全ての工程に責任を持って関わっていきます。 理論的な知識情報だけに終わらせることなく、実存的な経験情報に基づきご支援をいたします。しかし、そこには明確なアカデミックな原理原則と根拠、方法論を示しながら、組織の学習サイクルにフィードバックしていき定着をはかります。

株式会社カレンコンサルティング
代表取締役 世古雅人(せこ まさひと)


【プロフィール】

  • 1964年:三重県生まれの横浜育ち。神奈川県在住。

  • 1987年:武蔵工業大学(現 東京都市大学)工学部電子通信工学科卒業。アンリツ株式会社入社通商産業省(現 経済産業省)管轄の半導体基礎研究所の出向期間を含め、約13年間を設計と研究開発の現場で過ごす。その後、社内選抜にて経営企画室に異動し中期経営計画策定、情報戦略、組織風土改革等に従事。

  • 2003年:株式会社スコラ・コンサルト入社。企業風土改革、組織・業務コンサルティングに関わる。

  • 2004年:株式会社ピーエイ入社。経営企画室室長・管理部部長。
    事業計画策定・IR・各種制度設計と構築を行う。子会社である株式会社UML教育研究所の執行役員/営業本部長を兼任。社内コンサルティングと並行して、社外への経営・組織・業務・プロセスコンサルティングに従事。

  • 2009年:株式会社カレンコンサルティングを設立、同社代表取締役。
    コンサルティング・教育研修・アウトソーシング事業を展開。現場と経営を巻き込んだ新しい『プロセス共有型』のコンサルティングスタイルを提唱している。
    特にハード面の「業務プロセス」と、ソフト面の「風土改革」の2軸を大切に、大手上場企業から中小ベンチャー企業まで、業界・業種を問わず、現場における業務改善・組織風土改革の変革支援を行う。技術の現場あがりの経験や知識を活かした業務改善や変革コンサルティングなどに従事。

【著書】