【AIにも種類がある】機械学習/ディープラーニングとは?

最近では「AI」や「機械学習」、「ディープラーニング」と言ったキーワードをよく耳にするようになりました。AIの技術の革新によって、将来的に人間の仕事が大幅に奪われる可能性がある、といった内容の記事も、世間を賑わせています。また、GoogleのAlphaGoを代表として、企業でもAIロボットの活用、自動運転の技術開発など、上記の技術を活用した事例がどんどん増えてきています。

しかし、実際それらがどういう機能を果たしているのか?何故それが重要であり、私達の仕事にどのようなインパクトを与える可能性があるのか?理解できている人は少ないのではないでしょうか。

今回は「AI、機械学習、ディープラーニングとは何なのか?」「それが実際にどう役立っているのか?」を初心者の方・これから勉強される方にもわかりやすいように詳しく解説していきます。

 

AIとは?言葉の定義やその背景(第一次ブーム~第三次ブームまで)

AIは人工知能という意味で、(Art Intelligence)の略称です。この言葉の正確な定義づけは、実はなされていません。なので、専門家や研究者によっても言葉の定義は人それぞれです。

一例として、人工知能の研究をトップを走る東京大学の 松尾豊氏はこのように説明しています。

「ー人工的に作られた人間のような知能、ないしそれを作る技術。人間のように知的であるとは、「気づくことのできる」コンピュータ、つまり、データのなかから特徴量を生成し現象をモデル化することのできるコンピュータという意味である。」

出典:(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.45

上記の説明からわかるように、人間のようにコンピューター自ら「学習する」という特徴を備えているのがAIです。

「人工知能」にあたるAI(Artificial Intelligence)という言葉は1956年に開催された通称「ダートマス会議」(The Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence)でダートマス大学のジョン・マッカーシーによって初めて提案されたようです。

これまでにも世界的にAIのブームは大きく分けて3回程きましたが、2010年以降に起きて現在まで続く第3次ブームでは、機械学習の進歩により、技術の成長を大きく遂げました。

その火付け役とされているのは、2012年6月にGoogleが猫を認識できるAIを開発したと発表したことです。これまで用いてきた機械学習のアルゴリズムに代わって、深層学習(ディープラーニング)という新しいアルゴリズムがAIに自然に猫を認識(教師なし学習)したことは多くの専門家にインパクトを与えました。そして、それのブームが最高潮に達したのは、やはりGoogle AlphaGoが韓国の囲碁のトップ棋士イ・セドル氏を負かした出来事です。

このブームをきっかけに、AIを活用したアプリケーションがまさに爆発的に誕生しつつあり、加速度をつけて広がりを見せているのが現状です。ハードウェア・ライブラリ・アプリケーションの各階層が、多少の時間軸のずれを持ちながら、拡充・進化を続けているのが、今の人工知能なのです。

 

AIがここまで伸びてきた背景とは?

上記で説明したように、近年、AI特に機械学習やディープラーニングが大きく成長を遂げているのは、背景に何があるのでしょうか?

コンピューター処理能力の進歩

CPUの集積率アップだけではなく、並列演算処理が可能なGPUやエッジコンピューターなどによって、コンピューターがより短時間で大量のデータを処理することを可能にしました。

ビッグデータの活用

インターネットで普及したSNSや、それを利用するデバイスの進化、ユーザーの増加により、大量のデータを簡単に集められるようになりました。そこで生まれたのがビッグデータという言葉です。ビッグデータとは様々な種類・形式が含まれる非構造化データ・非定型的データです。

このようにコンピューターの進歩により、以前よりも容易に大量のデータを集められるようになった事が、AIの成長を推し進めたのです。

次に、機械学習やディープラーニングとはどのようなものなのか、説明致します。

機械学習とは?

大量のデータからそこに潜むある共通のパターンや特徴をコンピューターに覚えさせ、そのデータがどのパターンになるかを判断(回帰・分析)させる事です。

今までは、人間がデータ処理の手順をコードを細かく書く必要性がありましたが、機械学習にはコンピューター自らが「学習」してくれます。
なので、ある程度人間側が処理のプロセスを描けば、コンピューター側がデータの中からそこにある共通項を見つけ出す事によって、物事を予測したり・分けたりする事が可能になりました。

この技術は、金融工学・画像処理・自動運転など様々な分野に応用されています。そして、機械学習の学習モデルは主に3つのモデルがあります。

教師あり学習

あらかじめ、あるデータに対してラベルを付け、新しいデータがどのようにパターン化されるのかを予測・分類わけする方法です。
こうしたデータは、「正解ラベル」などとも言われます。

教師なし学習

一方でこちらは、データに対してラベリングはおこなわず、手元にあるデータの中で共通性や傾向を見つけ出す学習法です。

強化学習

コンピューター自体が試行錯誤を繰り返し、またそれに対して報酬・罰を与える事で学習をさせる方法です。 この学習方法は広告配信やゲームの攻略に力を発揮します。
例としては、Googleが開発しているAlphaGoが強化学習として有名です。

 

ディープラーニングとは?

多層のニューラルネットワークを活用し、物事の特徴を抽出する技術。機械学習の中の教師あり学習の一つである。

ディープラーニングにはニューラルネットワークという構造が使われ、そうした背景からディープラーニングのモデルは、ディープニューラルネットワークとも呼ばれています。

ニューラルネットワークとディープラーニング

人間の脳の神経回路に真似たニューラルネットワークと呼ばれるモデルがあります。これは現在の人工知能のモデルとなっており、この構造は、データを入れる入力層、入力層からくる重みを処理する隠れ層(または中間層)、結果を出力する出力層で構成されます。ディープラーニング はニューラルネットワークの隠れ層をたくさん増やしたものになります。隠れ層の数を増やすことにより、複雑なデータの学習を可能にしています(引用)。

*主な適応領域

音声認識

音声認識とは、コンピュータにより人間の声を言語とし認識し、テキストデータに変換する技術。(例:iPhoneの「Siri」,Amazon Alexa

画像認識

画像データから、オブジェクト(文字/顔など)や、対象物の特徴を掴み認識検出する技術。
(例: 空港での出入国管理、SNSの投稿画像の解析

自然言語処理

人間が日常的に喋ったり、話したりして使うような言葉(自然言語)をコンピュータに処理・理解させる技術。
(例:機械翻訳、テキストマイニング

上記2つの違い

「機械学習」と「ディープラーニング」の違いとしては、
どちらも、与えられたデータの中からパターンや特徴を掴むことに長けているが、
ディープラーニングの方が、分析の対象を区別する際に「目の付けどころ(「特徴量」という)」を自動的に見つけ出す事が出来る点です。

機械学習やディープラーニングの製品・サービスとはどのようなものがあるか?

・Google翻訳
日常英会話の検索や海外の資料等を翻訳をする際に使う方も多くいらっしゃるかと思います。翻訳精度の高さに定評があるこちらも「ニューラル機械翻訳」というディープラーニングの一技術によって生まれたものです。現在100以上の言語に対応しています。
https://translate.google.co.jp/?hl=ja

・Google Cloud Speech-to-Text
音声認識技術を使用し、音声をテキストに変換できます。API は 120 の言語と方言を認識し、世界中のユーザーベースのサポート、音声コマンドによるコントロール、コールセンターの音声文字変換処理に利用可能です。
https://cloud.google.com/speech-to-text?hl=ja

・Abeja Platform
Abeja Insight
ディープラーニングを使った店舗解析サービス。
ディープラーニング技術を活用することで、店舗に設置したカメラの動画をもとに
来店者数や来客の年齢・性別、店内の回遊状況など、従来取得できなかった消費者行動を可視化することができます。
https://abejainc.com/insight/retail/ja/

・Amazon Echo
Alexaで一躍有名になったこちらの製品もディープラーニングの技術が使われています。ディープラーニングなどの機械学習やAWS(Amazon Web Service)と融合することによって、高精度となった会話システムを提供できること、ユーザーに新たな体験を提供する事が可能となりました。
https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=5364343051

いかがでしたでしょうか。

AI、機械学習、ディープラーニングとは何かお分かりいただけましたでしょうか?
これらの技術は今や私達の生活のあらゆる場面で応用されており、今後もビジネスの分野において需要がさらに高まってくると言われています。
技術を導入する為にも、まずはその技術を理解するところから始めてみましょう。

参考文献: 梅田弘之『エンジニアなら知っておきたいAIのキホン』 インプレス ,2019,p.6~9

 

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