既存の業務フローを活かした業務改善とIT化

01-J-SOX対応から業務品質の向上へ

SOX対応での業務プロセスを活かし、業務品質の向上と競争力の強化を図る

ある大手銀行ではJ-SOX(内部統制)対応での全社的な業務プロセスの可視化(業務フロー図の作成)を行った。その際に作成した業務フローをJ-SOXだけでなく、業務品質の向上の為に使いたいと考えていた。そこで、業務プロセスの可視化から業務分析、プロセスの一元管理・共有による継続的業務改善基盤を提供する「iGrafx」を導入することに決めた。

 

非効率な為替業務のサイクルタイムの30%削減が命題

02-システム導入のあるべき姿

この大手銀行の為替業務は「為替フロント/為替バック/為替システム」の3つの課から構成され、 以下のような問題を抱えていた。

  • 為替バック課に仕事が集中する一方で為替フロント課は暇である
  • 為替システム課で新しい仕事をこなすためにシステム化を検討
  • 業務量の増大により、現状のままではこなしきれない
  • 適切な要員の配置を再度検討して3課の全体的な稼働率を均一化したい

これらの課題の改善目標として「為替業務のサイクルタイムの30%削減」という命題が与えられた。 また、この大手銀行では上記の課題に加えて、最終的な業務の変更まではできるだけ現場に負荷を掛けたくない という思いがあった。そこで、「iGrafx」を用いて J-SOX対応時に作成した業務フローを基に、ソフトウェア上で定性的・定量的両面から検討を重ねた。 これにより、現場の業務に大きな影響を与えることなく業務分析を進めることができた。 そして、最終的にITの導入や組織再編及び業務プロセスの再構築を図ることにした。 それは次のような手順で行われた。

 

業務プロセスシミュレーションによる業務のあるべき姿の決定

まず、可視化された現状の業務プロセスを基に、課題(As-Is)の洗い出しと改善目標(To-Be)の設定をした。 その目標を実現するための改善案の策定と、その改善案を実施した場合に想定される効果について 定量的なシミュレーションを行った。その結果を基にITを含めた業務のあるべき姿(To-Beモデル)を決定した。 具体的には以下のようにして実施した。

 

1.課題(As-Is)の洗い出しと改善目標(To-Be)の設定

課題(As-Is)

  • 為替バック課に仕事が集中
  • 3部門の稼働率が偏っている
  • IT化への検討
  • 効率が悪く、業務サイクルタイムが長くなっている

課題(To-Be)

  • 稼働率の平準化
  • 要員の移動と最適配置
  • IT化の効果算定と新しい仕事の導入
  • サイクルタイムの30%削減

 

2.改善案の策定

シミュレーションで検証するための仮説を立てる

  • 要員を再配置して稼働率を平準化できないか?
  • 可能な範囲でIT化することで業務を効率化できないか?
  • 要員の再配置+IT化でさらなる効果を期待できないか?

課題(To-Be)

  • 仮説① フロント課の要員をバック課でも共有してみる
  • 仮説② システム課のITの導入を行う
  • 仮説③ ITの導入と同時にIT課の要員をフロント課へ移動してみる

 

3.改善効果をシミュレーション

策定した仮説の前提条件を数値でインプットする

  • 要員を部門間で共有したモデル
  • ITを導入したモデル
  • IT化+要員を移動したモデル

仮説毎の稼働率、サイクルタイムをシミュレーションで検証する

シミュレーションツールはこちら→「iGrafx Process

 

4.業務のあるべき姿(To-Beモデル)の決定

シミュレーション結果のレポートを基に、実行する改善案を決定

以上の結果から「人員の再配置」と「IT化」を合わせた仮説が、目標であった 『為替業務のサイクルタイムを30%削減』を実現できる業務のあるべき姿(To-Be) であるとの結論に達した。

 

決定した業務のあるべき姿(To-Beモデル)の実施と共有・定着

定量的シミュレーションの結果、決定された改善案を実施するにあたり、 ITシステムの開発が必要となった。しかし、この時点で業務のあるべき姿は設計済みであったので、 現場と開発側での意思疎通が円滑に行われ、スムーズに要件定義を行うことができた。 結果として業務プロセス志向でITシステムの開発を素早く行うことができた。

新しい業務モデルの周知・共有するにあたり、業務フローのデータは管理部門で一元管理した。 また、現場部門へ業務フローを公開する為に業務フローのWEB公開機能と閲覧者が業務フローへ コメントを付けられる機能を持つ、業務プロセス管理システムを導入した。 これにより、現場の声を随時把握できるようになり、継続的な業務改善基盤を構築できた。

 

為替業務のサイクルタイム30%削減は人とITで実現

可視化された業務プロセスに対して、定性的な分析と定量的な分析の二つの側面から 業務分析を行ったことで、「為替業務のサイクルタイム30%削減」を実現できる 業務のあるべき姿を導き出すことが出来た。 このプロジェクトの目標達成にあたり、次の点が重要なポイントであった。

プロジェクトの目標達成における重要なポイント

  • 可視化された業務フローを基に課題を洗い出し、改善案の仮説を複数立てた。
  • 仮説を具体的な数値で定量的にシミュレーションすることで、現場に影響を与えることなく最適な答えを導くことができた。
  • 業務及びITのあるべき姿を設計し、可視化された業務プロセスを社内に公開することで、適切な手段を以て新しい業務を周知・共有できた。そのことが実務でのパフォーマンス向上に繋がった。

 

プロジェクト担当者の声

  • KKD (経験・感・度胸)による不確かな業務変更ではなく、数値による裏付けで確信を持って業務改善プロジェクトを進めることが出来た。
  • ツールを使ったシミュレーションにより、業務変更実施まで現場を動かすことなく業務分析を進められた。それにより、業務が停滞するリスクを最小限に抑えられた。
  • 元々内部統制用に作成した業務フローを眠らせておかないで、そこから新たな価値を創出できた。

 

業務プロセスシミュレーションに使用したツール

iGrafx PROCESS

→ iGrafx Processの詳細情報を見る

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本記事のご提供元

株式会社サン・プラニング・システムズ


株式会社サン・プラニング・ 【得意分野】
・業務の棚卸
・業務の可視化
・業務フロー型マニュアル構築
・内部統制文書作成/コンバート
・RPAツール導入支援/シナリオ構築