【業務の可視化とは?】業務改善に必要な業務の見える化の重要性

【業務の可視化とは?】業務改善に必要な業務の見える化の重要性

昨今、長時間労働の問題や、さらなる業務効率と生産性の向上に向けて、政府も主導する形で働き方改革の推進が掲げられました。現状の働き方や非効率な業務に対しての見直し、つまり業務改善をしましょうという風潮が社会全体として高まってきています。

その中でも、業務改善への取り組みにおいて「業務の可視化/見える化」が注目されています。なぜ「業務の可視化/見える化」が必要とされているのか、このページで解説します。

 

業務の可視化/業務の見える化の違いとは?

業務の可視化と業務の見える化の違いが気になる方も多いと思います。
実は明確に定義されている訳ではありませんが、しっかりと使い分けている方もいらっしゃいます。

まずは予備知識として、どんな意味合いで使い分けられているのかを解説します。

可視化とは?

可視化とは形のないものを目で見てわかる状態にすること。例えば、業務プロセスや顧客満足度などは形がないため目で見ることは出来ません。明確に定義されている訳ではありませんが、このように通常では目に見えないものを必要な時に見える状態にする事を可視化と言います。

(例)

  • 地震の震度を地図上に色分けした数字で表示する
  • 業務の流れをフロー化する
  • お客様の商品に対する満足度を数値化する

見える化とは?

こちらも明確な定義はありませんが、見える化には可視化に加えて”常に見える状態”にする、という目的が含まれていることが多い。意識せずとも情報が目に飛び込んで来るようにし、行動を起こせるようにすること、同じ情報を見て全員が共通認識を持てるようにシンプルでわかりやすい判断基準を共有することが大切です。

(例)

  • 機材のバッテリーの残量が常に表示されている
  • 計画個数と生産個数がリアルタイムに表示されている
  • スタッフの稼働状況が常にモニターに表示されている

 

業務全体の可視化/見える化をしないと業務改善ができない?

業務改善に取り組むにあたり、あらゆる改善のステップを無視して、いきなり改善施策の実行に移して成功できたよ!といったようなケースは極めて稀です。

なぜなら、会社の業務は様々な業務プロセスが絡み合って構成されているので、業務の全体像を把握できなければ、問題点の把握や、効果的な改善策を立案することは非常に難しいのです。

効果的な業務改善を目指すなら、まずは業務の実態を把握するための「業務の可視化/見える化」を行い、現状の業務のプロセスの流れをはじめ、それぞれにかかる工数や人数、顕在化している問題や事象、潜在化している真因の把握、といった事を認識するステップを意識しなければなりません。

特に日本の企業は縦割り組織ですので、部をまたいだプロセスの把握が難しい状態なのかもしれません。しかし、業務全体をプロセスとして捉え、ひとつひとつの「業務の可視化/見える化」を行っていくことで、ようやく業務の全体像を把握できるようになります。

 

業務の可視化/見える化を実施する目的の一例をご紹介

「業務の可視化/見える化」に着手される企業の目的は様々です。単純に業務実態を把握したい企業から、法対応で「業務の可視化/見える化」をしなければならない企業、システム刷新のプロジェクトをより確実に進めたい企業など、「業務の可視化/見える化」の手法はあらゆるところで取り入れられています。

ここでは、「業務の可視化/見える化」に取り組む企業の一例をご紹介したいと思います。

①改善に向けて現状把握をするための可視化/見える化

意外と多いのが、これから改善プロジェクトを始めるにあたって、まずは「業務の可視化/見える化」を実施し、会社の事業全体の構造を把握したいという目的です。

特に、自部門の業務はある程度把握できていても、他部門のどの業務と関連しているのか、そしてそれがどう利益や結果に結びついているのか、などについては、各部門の業務をプロセスとして関連づけて見ないと把握が難しいものです。

この、他部署との繋がりも含めて全体像を業務プロセスとしてしっかりと把握したい、という狙いで「業務の可視化/見える化」に取り組む企業もあります。

②業務上の問題点を洗い出し改善するための可視化/見える化

業務改善を目的としている企業では、業務実態を把握するのと合わせて、業務上の問題点を把握してしまう手法を取られるケースもよく見られます。

どの部門のどの業務に、どのような問題が発生しているのか、そしてそれらの問題をどのようにして解決できそうか、といった情報を拾い上げてまとめていきます。

最終的には、業務フローチャート上に問題点を示したり、問題点を一覧化した1枚のExcelシートにまとめ、これをベースに業務改善に向けて問題の解決策を考えていくアプローチです。このように問題改善型の業務改善に取り組む企業もあります。

③RPA導入に向けて現状把握&BPRのための可視化/見える化

昨今、RPAの導入を通じて業務時間の短縮・効率化等がメディアでもよく取り上げられるようになりましたが、実際にRPAの導入だけに頼りきって、肝心の導入効果・改善効果が得られずにプロジェクトが頓挫したり、失敗しているケースがよく見られるようになりました。

RPA導入の際にも、「業務の可視化/見える化」が効果的です。これは業務実態や作業手順を把握するという意味もありますが、一番重要なポイントとして、RPAの効果を最大化させるために業務プロセス側を変更(BPR)するためでもあります。

どの作業がRPAに代替可能か検討しながら、その効果を最大化させる理想の業務プロセスを同時に考えてBPRを実行することで、RPAの導入効果が飛躍的に高まります。

④システム刷新の要件定義やFit&Gapのための可視化/見える化

新たにシステムを導入する場合や、古くなったシステムをリプレイスする場合、またはパッケージを導入するにあたっても、「業務の可視化/見える化」は効果的です。

現状プロセスの把握や、新たなシステムの要件定義、システム刷新後の新しい手順のシミュレーション(&その後のマニュアル化)、パッケージであれば現状の業務実態とパッケージの機能とのFit&Gapのチェックなど、「業務の可視化/見える化」による効果は広範囲に及びます。

実際にシステムの導入や開発をした後に、こんなハズじゃなかったとならないように、「業務の可視化/見える化」をしておくことが重要です。

⑤内部統制のための可視化/見える化

主に上場企業に求められる法対応の為、内部統制の3点セットと呼ばれる文書(業務フローチャート、業務記述書、リスクコントロールマトリクス)を整備する上でも、「業務の可視化/見える化」は必要です。

内部統制対応では、業務実態を業務フローチャート形式で表現して明らかにしつつ、業務上のリスクとなるポイントや、それを統制するコントロールとなるポイントを図示して作り込んでいきますが、まれに業務フローチャートを作らずに、リスクとコントロールポイントだけで管理する企業も見られます。

しかし、日々業務が変わっていく中、整合性を完全に保持してメンテナンスし続けることはほぼ不可能です。そうならないように、面倒でも、コストが掛かってでも、業務フローチャート形式に落とし込んで管理することをオススメします。

⑥業務マニュアルのための可視化/見える化

業務の流れや処理方法をフローチャート形式で書き表すことで、業務の流れをザックリと視覚的に把握できる為、業務マニュアルとしての活用も目的として設定されることがあります。

特に、業務フローチャートの横に業務処理方法の詳細手順を文章で記載することで、全体の流れを目で置いながら、必要なところだけ文章で業務詳細を読み込むことができます。

フローチャート形式だけでは表現しづらかった、べからず集的な補足や、レアなイレギュラーパターンについても、文章側に自由に記載できる為、フローチャートの可読性を保持しながら必要な情報を取り出すことができます。

このようなマニュアルであれば、若手社員や新任のメンバーにもわかりやすい、使える業務フローマニュアルを作成することができます。

 

業務全体の可視化/見える化を行って確実かつ効果的な改善活動につなげましょう

以上の通り、「業務の可視化/見える化」を行うことで、いきなり業務改善に着手するよりも確実に改善効果を高められることがわかったと思います。

業務改善のコンサルタントの方々からすれば当たり前のステップかもしれませんが、実態の把握、問題点の洗い出し、改善策の検討、改善の実施など、これらのステップは業務改善のPDCAを回す上でいずれも不可欠な要素です。

本記事を読んで、まずは ” 可視化/見える化 ” からやってみようかと思われた方は、次のアクションとして「業務可視化の進め方」について学んでみてください。「業務の可視化/見える化」にも、いくつかのアプローチ方法があります。どのアプローチが自社の環境に適しているのか、把握してから進めることで、可視化プロジェクトも効率的に進めることができるでしょう。

本サイトでもいくつかの観点で記事を紹介しておりますので、ぜひ参考になさってください。

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本記事の執筆者

業務可視化NOTE 運営事務局 編集担当

業務可視化NOTE 運営事務局 編集担当 市橋