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シリーズ業務改善④ 第3回 原因と結果の因果な関係

原因と結果とは?因果関係の意味・違いと原因分析の進め方

シリーズ業務改善④ 第3回 原因と結果の因果な関係

第3回は現象から原因へ掘下げていくことについてお話します。

 

先に結論

  • 原因は結果を引き起こした要因、結果は原因の後に現れた変化です。この関係を因果関係と呼びます。
  • 業務改善では、目に見える現象をそのまま原因と決めず、事実・意見・推測を分けて原因候補を掘り下げます。
  • 原因候補を出しただけでは不十分です。データ、現場観察、条件比較などで確かめてから対策を決めます。

 

原因と結果とは?因果関係の意味を整理

原因とは、ある変化を引き起こしたと考えられる要因です。結果とは、その原因の後に生じた変化を指します。両者のつながりが因果関係です。ただし、同時に起きた出来事や前後して起きた出来事が、必ずしも原因と結果になるわけではありません。

整理する言葉 実務での捉え方
現象・結果 実際に起き、観察できること 請求書の差し戻しが月50件発生
問題 あるべき状態と現状の差 差し戻し率が目標を上回る
原因候補 結果につながった可能性がある要因 入力ルールが担当者ごとに異なる
確認された原因 事実やデータで影響を確かめた要因 ルール未共有の部署で差し戻し率が高い

元の出来事を「原因」と断定する前に、単なる前後関係や相関ではないかを確認します。AMEDの情報発信ガイドでも、相関関係と因果関係を混同していないかを確かめる重要性が示されています(AMED「医学系研究をわかりやすく発信するプロジェクト」)。

 

原因と結果を整理する5ステップ

  1. 結果を事実で書く:いつ、どこで、何件起きたかを数字や観察事実で表します。
  2. 事実・意見・推測を分ける:「忙しいから」「意識が低いから」といった解釈を事実と混ぜません。
  3. 原因候補を広く出す:人だけでなく、方法、設備、情報、ルール、環境など複数の方向から考えます。
  4. 「なぜ」で掘り下げる:表面的な現象で止めず、変更できる要因までたどります。
  5. 証拠で確かめる:部署別・時期別の比較、記録確認、現場観察、小さな対策テストで影響を検証します。

原因候補を広げるときは特性要因図、深掘りには「なぜなぜ分析」が使えます。日本科学技術連盟は、特性要因図を結果(特性)と原因(要因)の関係を整理するQC手法として紹介しています(日本科学技術連盟「QCストーリー・QC手法」)。

 

原因分析で失敗しやすい4つのポイント

  • 人を原因にして終わる:「担当者の注意不足」では再発防止策が注意喚起だけになります。手順、判断基準、教育、システムまで掘り下げます。
  • 原因を1本に決め打ちする:複雑な問題は複数要因が重なります。因果の連鎖や相互作用も確認します。
  • 症状への対処を根本対策と呼ぶ:差し戻しを早く処理するだけでは、差し戻し自体は減りません。
  • 検証前に大きな対策を打つ:原因候補が外れていればコストだけが増えます。まず小さく確かめます。

対処療法と原因分析の違いを詳しく確認したい方は、問題解決策を対処療法にしないも参考にしてください。

 

原因と結果に関するよくある質問

原因と理由は同じですか?

完全には同じではありません。原因は結果を引き起こした要因を指し、理由は判断や行動の説明にも使われます。業務改善では、説明として納得できるだけでなく、結果への影響を確かめられる原因かどうかが重要です。

「なぜ」を5回聞けば根本原因にたどり着けますか?

5回は目安です。少ない回数で十分な場合も、複数の原因経路を調べる必要がある場合もあります。回数を守ることより、事実に基づき、対策可能な要因まで掘り下げることを優先します。

原因候補はどうやって確かめますか?

発生した部署と発生していない部署、変更前後、条件の違いなどを比較します。記録が不足している場合は、先に観察項目や記録方法を決め、小さな範囲でデータを集めます。

 

「問題を書き出しましょう!」…はそのままでは役に立たない

株式会社カレンコンサルティング 代表取締役 世古 雅人 氏
株式会社カレンコンサルティング 代表取締役 世古 雅人 氏

よく業務改善の場面で、「付箋紙に問題を書き出してください」とか、皆さんの会社でも行うことはありませんか? その後、だいたいやることとしては、「1)貼り出す(共有)、2)グルーピング」の流れです。

前回(第2回)まで、“問題発見”からいきなり“問題解決”を行うのではなく、その間にきちんと「考えるプロセス」として“原因分析”を入れることが重要とお伝えしました。

図1をご覧ください。

図1 「現象」「問題」「原因」がごちゃ混ぜ

左から2列目は前述した付箋紙だと考えていただくと、出された問題(らしきもの)は人によって表現がバラバラであることは珍しくありません。左から1列目で示す「現象」「問題」「原因」のどれを指しているのかすらわからない場合もありますが、ここでは素直に上から順番に1対1に対応しているとしましょう。

しかし、命題として「問題を書き出してください」と言ったところで、現実には「現象」「問題」「原因」が混在する事態になりがちです。さらに悪いことには、これらを共有する時に発表者(問題を付箋で出した人)が、あれこれ余計な尾ひれを付けてきます。

一番右側の列に示したように全てが「事実」であればまだましですが、「意見」として言い切ってしまったり、根拠が曖昧な「推測」が含まれるにもかかわらず、問題だ!と言い切ってしまうことも。さらに、個人的な「感想」が全体にかぶってくると、余計にややこしくなります。

このような場合、グルーピングは書かれている内容で、一見それっぽく出来ますが、問題の深さ方向(浅い現象なのか、深い原因なのか)の切り分けは出来ていないことをまずは気をつけましょう。この状態では問題解決には何の役にも立ちません。ごちゃ混ぜをただ羅列した状態です。

 

因果関係を明確にする

“因果関係”という言葉があります。この意味は、原因とそれによって引き起こされる結果の関係性です。原因があるから結果が存在します。

模式的に図2に示します。

図2 原因と結果(因果関係)

現象と問題に当てはめて考えてみると、「問題が原因」で「現象が結果」になります。現象は問題ではないので、問題を引き起こしているものは何かと考えるとそれが原因になります。さらに、原因にはより深い原因が存在する場合がほとんどで、深ければ深いほど見えにくくなる特性があります。

因果関係は連鎖しています。問題を明確に把握し、把握した問題をきちんと解決するためには原因をいかに「正しく深く」掘り下げられるかが重要になります。

 

ごちゃ混ぜを整理してみる

先の図1のごちゃ混ぜを図2の因果関係に従い整理をしたものが、図3となります。

図3 切り分けから課題化、解決まで

第1回の図3のピラミッドも参考にしてください。皆さんの目に見えているものは「現象」です。もっと深い部分に本質的な原因が存在し、「解決をしないといけないという認識が伴った問題=課題」として定義をします。
したがって、問題が100個あるから100個解決しなければならないとはならず、実際の課題は50個かもしれません。極論ですが、このような場合は残りの50個はほっといていいのです。

 

「現象」から「解決」まで

問題が複雑になればなるほど、原因は多岐に渡ります。1つの原因が他の原因に影響を与えている場合もあります。そこでさらに、「なぜそうなっているのか?」を何度も問いかけて、原因の掘り下げを行うことで、本質的な“根っこの原因”に突き当たります。

これを図4に示します。本来の語源として右側に英語で示しておきます。

図4 現象から問題解決までの掘下げ

例えば、これがTPS(トヨタ生産方式)であれば「なぜを5回」として考えることが該当するでしょうし、現象から課題へ絞り込むことでトータルの問題数を減らす効果や、原因同士の関係性も見えてきます。

これまで何度か「考えるプロセス」とお伝えしていますが、図4中の「原因の掘下げ」と課題から解決への思考はとても重要です。プロセスによって解決することもあれば、情報システムによって解決することもあり、解決方法の手段は様々です。部門間の連携やコミュニケーション、管理職のマネジメントにメスを入れなければならない場合もあります。さらに、優先順位やリソースをどう配分するかも重要です。

次回はもう少し具体的に例を挙げながら一緒に考えてみましょう。

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本記事の執筆者

株式会社カレンコンサルティング

株式会社カレンコンサルティング 代表取締役 世古 雅人 氏

カレンコンサルティングはPlanだけでなく、未来永劫に企業組織が自走できる自立的な組織構築を目指しています。 社員間、社員と経営者の関係性、信頼関係等も重視し、継続的に成長し続ける企業や組織であるためにハード/ソフトの両側面からPDCAの全ての工程に責任を持って関わっていきます。 理論的な知識情報だけに終わらせることなく、実存的な経験情報に基づきご支援をいたします。しかし、そこには明確なアカデミックな原理原則と根拠、方法論を示しながら、組織の学習サイクルにフィードバックしていき定着をはかります。

株式会社カレンコンサルティング
代表取締役 世古雅人(せこ まさひと)


【プロフィール】

  • 1964年:三重県生まれの横浜育ち。神奈川県在住。

  • 1987年:武蔵工業大学(現 東京都市大学)工学部電子通信工学科卒業。アンリツ株式会社入社通商産業省(現 経済産業省)管轄の半導体基礎研究所の出向期間を含め、約13年間を設計と研究開発の現場で過ごす。その後、社内選抜にて経営企画室に異動し中期経営計画策定、情報戦略、組織風土改革等に従事。

  • 2003年:株式会社スコラ・コンサルト入社。企業風土改革、組織・業務コンサルティングに関わる。

  • 2004年:株式会社ピーエイ入社。経営企画室室長・管理部部長。
    事業計画策定・IR・各種制度設計と構築を行う。子会社である株式会社UML教育研究所の執行役員/営業本部長を兼任。社内コンサルティングと並行して、社外への経営・組織・業務・プロセスコンサルティングに従事。

  • 2009年:株式会社カレンコンサルティングを設立、同社代表取締役。
    コンサルティング・教育研修・アウトソーシング事業を展開。現場と経営を巻き込んだ新しい『プロセス共有型』のコンサルティングスタイルを提唱している。
    特にハード面の「業務プロセス」と、ソフト面の「風土改革」の2軸を大切に、大手上場企業から中小ベンチャー企業まで、業界・業種を問わず、現場における業務改善・組織風土改革の変革支援を行う。技術の現場あがりの経験や知識を活かした業務改善や変革コンサルティングなどに従事。

【著書】

 

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ABOUT US
市橋 憲茂
市橋 憲茂(株式会社サン・プラニング・システムズ)
【業務プロセスの可視化・改善で20年】業務の見える化、業務シミュレーション分析による業務改善を推進。営業、コンサルタントを経て、現在はその価値を発信するマーケティング部門の責任者として、業務可視化の重要性を広く伝えながら、企業の改革を後押ししています。