業務可視化プロジェクトでは、まず最初に業務フローの作成対象範囲を検討・整理する為、「業務の棚卸し」を行います。そして業務の棚卸しで作成する成果物が「業務一覧表」です。今回はこの「業務一覧表」について説明します。
「業務一覧表」とは、一言で言うと業務を体系的に上位から下位までまとめあげたものです。「業務一覧表」は、業務可視化プロジェクトにおいて業務フローと同様に重要な成果物です。業務を漏れ無く体系的に洗い出すことで、業務フローの作成単位が明確になり、業務フローの粒度を揃えやすくなるメリットがあります。
業務一覧表作成の為の2つのアプローチ
業務一覧表の作成においては、「業務を体系的にまとめること」と「業務をもれなく洗い出すこと」が重要です。その為に2つのアプローチを組み合わせることが効果的です。
トップダウン分解
対象とする業務範囲を構造的に捉え、上位レベルからから段階的に整理します。一般的に組織体系を基にして作成していきます。ここで作成する成果物を「業務体系表」と呼びます。「業務体系表」は主に業務可視化プロジェクトの推進事務局が中心となって作成します。
ボトムアップ合成
現場担当者にアンケート・ヒアリングを実施し、実際に行われている業務や作業を列挙します。その中から共通するものをグループ化してまとめ上げていきます。ここで作成する成果物を「業務棚卸表」と呼びます。
上記2つのアプローチによる「業務体系表」と「業務棚卸表」を突き合わせ、漏れを確認して更に精度を高めていきます。これにより効果的な業務一覧の作成が行えます。また、業務の体系は「大分類・中分類・小分類」の3つに分類し、業務一覧の粒度を揃えます。
業務一覧表の活用
業務一覧表を作成することで業務が体系的に洗い出され、業務フローを作成する単位が明確になりますが、業務一覧表に項目を追加して、プロジェクトの目的に合わせて活用します。
進捗管理表
業務一覧表に以下の項目を追加し、業務フロー作成の進捗管理表とします。業務可視化プロジェクトにおいては必須です。(一覧表が完成した後に加えても良いでしょう)
- 作成対象(作図要否)
- 作成担当者
- レビュー者
- 作成開始日
- 作成完了日
- 進捗度
業務改善
業務改善の検討ベースとして以下の項目を追加し、業務属性を整理します。
- 業務の性格(定型/非定型)
- 業務スキル(一般/専門性)
- 必要習熟度(求められる経験年数)
このような項目を追加することで、例えば、定型業務、一般スキル、短期間で習熟可能な業務の当たりを付けて、事務担当者の最適化(正社員→派遣社員)やアウトソーシング検討に活用します。
【まとめ】業務一覧表は精度が重要
業務一覧表は業務可視化プロジェクトにおいて非常に重要な成果物であり、業務一覧表の精度はその後の工程を大きく左右します。プロジェクト後半で必要な業務が可視化されていなければ、手戻りが発生してしまい、プロジェクトメンバーや業務担当者の再調整が発生するなど、プロジェクト全体に大きく影響を及ぼします。
業務可視化プロジェクトでは業務フローを作成することに意識が向きがちですが、「業務一覧も業務フローと同様に重要性が高い」ということを認識したうえで、プロジェクトに取り組むことが求められます。
業務可視化NOTE 運営事務局 編集担当