業務調査票の活用
「業務の棚卸し」にはヒアリングや立会調査などいくつかの方法がありますが、対象部署・対象者が多数にわたる場合は、プロジェクトの担当者が直接調べるのは現実的ではありません。
その場合まずはアンケートのような形で現場担当者ひとりひとりに業務調査票を書いてもらい、各部署で取りまとめを行ってもらうと良いでしょう。
業務調査票はプロジェクトの目的に基づいて事務局で作成します。各部署の部門長に主旨を理解してもらった上で全担当者に配布し、それぞれの受け持っている業務の名前と概要をわかる限りすべて書き出してもらいます。
業務調査のポイント
業務調査票の項目
- 自由記述形式の項目は、回答にも取りまとめにも負担がかかります。聞き出したいことを明確にし、選択式で良い項目はできる限り選択式にしておきます。
- 回答者の役職、現部署での勤続年数なども集めておくと後々分析の手助けになります。同じ名前の業務が書いてあっても、役職やポジションにより内容が全く違うことはよくあります。
追加項目
- 業務名と内容だけでなく、プロジェクトの目的(業務改善・人員最適化・標準化)にとって必要となる業務の属性についても同時に情報を集めると効率的です。
- たとえば課題整理、改善を目的とする場合は、現行のシステムや手順に対する要望や不満、こうしたら良くなるのにといった効率化へのヒントなども同時に記入してもらいます。
- ただし「あったほうが良い」程度の意図が不明確な項目は、回答者と取りまとめ側それぞれの負担を増やすだけになってしまいます。アンケートでは回答の精度も限られていますので、回答しやすく目的も明確な項目に限定しましょう。
業務調査票の配付
- 必ず記入見本もセットで配布します。設問の意味が正確に伝わらないと意図した答えが返ってこず、取りまとめの手間が増えてしまいます。
- 業務調査票記入の優先順位が下がることを避けるため、業務調査票は直接事務局から配布せず、上長経由で配布・回収してもらうと良いでしょう。
業務調査票の記入
- 業務を書き出す時は、日・月・年次の時間軸や、商品やサービスなどの取扱対象などいくつかの軸を用意して書き出してもらうと漏れが少なくなります。
- マニュアル等だけではなく帳票・データの現物や手書きのメモ、スケジュール類もチェックし、忘れている・隠れている業務がないかどうか確認してもらいます。
業務体系図の作成
- あらかじめ部署毎に業務体系を作成してもらい、大枠となる業務の粒度、分類を決めておくと、とりまとめの際に漏れやブレを避けることが出来ます。
- 業務体系図は、部署の機能(職務分掌)をリストアップし、その「あるべき機能」を2~3段階に分解して作成します。
- 似たような機能を持つ部署がいくつかある場合は、できる限り分類の仕方が共通になるように調整しておくと、のちのち業務フローの再利用や比較がしやすくなります。
本記事の執筆者
業務可視化NOTE 運営事務局 編集担当