海外生産における業務標準化の課題とは
「国内工場の業務プロセスを輸出したい、そしてグローバルに業務を標準化させて管理したい」という企業が増えて来ています。
はじめての海外進出から拠点のグローバル展開に至るまでには大きくは3つのステージに分けられます。
「業務標準化の課題」はステージごとにレベルも内容も異なるので、それぞれのステージ分けて解説します。
ステージ1:海外生産の実施直後の課題
海外生産に取り組み始める企業の多くが「コスト削減」を目的としています。
海外生産の実施にあたっては、もともとが国内生産拠点の難度の低い生産工程に絞って海外に輸出する形をとります。
そのため、このステージにおいては「業務標準化の課題」はあまり見られません。
ステージ2:海外生産実施後の課題
海外生産も安定しはじめ、新たな環境の変化が加わる頃、「業務標準化の課題」が現れ始めます。
進出先での現地製造・販売を含めた市場拡大を念頭に置いた海外生産を進めていくうえでの環境の変化として、M&Aによりまったく異なる事業や業務プロセスを持つ企業の取込みが行われたり、活動地域の拡大や市場の事情に合わせた業務プロセスのローカル化などが発生します。
この環境の変化によって、これまでは国内生産拠点の業務プロセスと同じ様な形で実施できていたものが、各拠点ごとに独自の業務プロセスを実施せざるを得ない状況となり、結果として企業内ではグローバルに様々な業務プロセスが生まれ始めます、
この時点では、まだ各進出先ごとの「業務標準化の課題」の範囲であり、業務標準化と言う効率性の追求の必要性は感じつつも、進出先での売上高の成長を重視する思考も強く、なかなか着手できないというジレンマに陥いります。
ステージ3:グローバル視点での課題
最近の傾向として、海外生産はグローバルでの競争力の観点から単に進出先での効率化を図るだけではなく、国を跨いだ複数拠点間での緻密な連携が求められ、グローバルでの効率化の必要性が急速に高まっています。
企業がグローバルでの競争に勝ち抜くいていくためには、グローバルな範囲での業務標準化を推し進め、グローバルレベルでの最大限効率化を目指す必要があります。
グローバルレベルという範囲の拡大によって、「業務標準化の課題」も重くなってくるわけです。
グローバルレベルを睨んだ業務標準化の3つのポイント
ポイント1.『個別最適』と『全体最適』
業務標準化と言っても2つ視点があります。
1つは『個別最適』という視点です。進出先市場の事情に合わせたローカル化/カスタマイズするという視点が必要です。
そしてもう1つは『全体最適』という視点です。海外拠点同士を臨機応変に連携させるために業務プロセスをできるだけ共通化させて標準化を図るという視点が必要です。
『個別最適』に偏り過ぎるとグループ全体の経営効率性が悪くなり、戦略/方針の実行や最大利益の確保が難しくなりますし、『全体最適』だけを追求すると進出先ごとの活力が失われ、成長が達成できない可能性が出てきます。
この2つの視点のバランスをとっていくことが、業務標準化を進めるうえで重要なポイントです。
ポイント2.展開スピードの問題
近年、グローバルビジネスを推進していくうえで、人件費の高騰、カントリーリスク回避、市場の拡大などの理由によって、次々と新たな進出先への展開が必要とされるようになりました。
グローバルビジネスが激化する中、十分な時間をかけて徐々に展開を進める従来からの方式では、変化のスピードについていくことができません。
標準的な業務を中心としながら、進出先市場の事情に合わせたローカル化/カスタマイズを高速に展開することが重要なポイントとなります。
ポイント3.標準化された業務の共有化/実行
業務標準化は標準化された業務プロセスが進出先の従業員に認知/共有化され、実施されて、はじめて有効となります。
よって、進出先の従業員に広く共有され、誤解や間違いなどがなく、正確に効率よく実施させる仕組みを、いかに構築するのかも重要なポイントです。
業務標準化の問題の解決策とは?
これまでの『個別最適』を主体にした業務標準化の問題と、今後の『全体最適』を考慮に入れた業務標準化の問題について、どのような視点においてアプローチをすれば解決に導けるのでしょうか。
その鍵は『全体最適』を視野に入れつつ、全世界で標準化するレベル、各地域で標準化するレベル、各国で標準化するレベルなどを考慮した「標準化モデルの策定/展開」と「モニタリング(監視)」にあります。
それでは、その『全体最適』を視野にいれながら「標準化モデルの策定/展開」と「モニタリング(監視)」を実現するためには、どのような仕組みを構築すれば良いのでしょうか。
そのヒントについてPDF資料にまとめましたので、ぜひダウンロードしてご一読ください。