決算早期化のポイント
はじめに
決算早期化の特集コラムを担当します仰星マネジメントコンサルティング株式会社の金子彰良です。よろしくお願いいたします。
このコラムを読まれるiGrafxユーザーの皆様の中には、決算早期化とiGrafxがどのように結びつくのだろう?と思われた方もいらっしゃると思いますので、コラムをお読みになる前に少しお付き合いください。
業務可視化の定着化と分析フェーズの作業工数軽減
BPRや業務改善のプロジェクトでは、必ず現行業務の実運用をフローチャートなどに落とし、企業戦略から導出される課題を解決するように、全体最適な業務プロセスを再設計します。従来はこの業務改善やシステム化のたびに、現状の業務フローを多大なコストをかけて作成していることが多かったのですが、内部統制の評価・報告制度(J-SOX)を契機に「業務を可視化する」ことが上場企業を中心に根付き、その中で業務フローを常に最新の状態に維持・管理している企業では、業務改善やシステム化にあたってそのドキュメントをインプットにすることで現状分析の作業工数をタイムセーブできるようになりました。
決算早期化とiGrafx
ところで、決算早期化は決算の所要日数を短縮する=業務のスピードアップを図ることに主眼を置いた業務改善活動ですが、今回のコラム後半でご紹介しているPERT図による決算業務の可視化作業も、既存の業務を可視化したドキュメント(業務フローもその一つです)をインプットにすることで効率的に作成することができます。
iGrafxのようなツールを使用して業務プロセスを可視化し、継続的に維持管理を一本化することでJ-SOXに限らず、業務の有効性と効率性を高める活動に再利用することができるのです。
「決算早期化」は古くて新しいテーマですが、そもそも企業はなぜ決算の早期化をするのでしょうか。早期化の目的は、大きく分けて開示等の外部要因と管理上のニーズすなわち内部要因がありますが、多くは会計制度の改革や市場からの要請に合わせて、企業が決算体制の整備・充実を繰り返し図ることで進められてきました。今回はまずこれまで決算早期化のプロジェクト活動がその時代の背景に合わせてどのように目標やスコープが変遷してきたかをみてみたいと思います。
前回(第1回「決算早期化の今と昔」)、決算早期化プロジェクトの背景や目標・スコープの移り変わりをみてみました。会計制度改革や市場からの要請で、全体として決算発表が早期化される傾向がありましたが、今回はまず最近の状況を確認したいと思います。