業務改善で活用できるフレームワークとはどのようなものがある?


場当たりな業務改善は、改善効果が低いだけでなく、業務効率が悪化するといった事態を招く可能性があります。業務改善を実施する上で、有効な業務改善手順を知り、それに則って推進することは非常に重要です。また、様々なフレームワークを知っておくことも、問題原因の特定・課題設定・改善計画立案など、業務改善における様々な場面で有効です。
フレームワークとは「枠組み」を意味し、業務改善や経営戦略の問題解決に役立つ思考やツールを指します。ここでは、「効果的な業務改善を推進するための分析方法」と捉えていただければと思います。
ちなみにIT業界でのフレームワークとは、システムソフトウェアを構築していく上での「枠組み」となるので、少々意味合いが異なります。
今回紹介する業務改善フレームワークは全部で6つです。BPMN、ロジックツリー、バリューチェーン分析、5W1H、PDCAサイクル、ECRS、すでに知っているフレームワークもいくつかあるかと思います。使用のポイントをおさらいする上でも、ぜひ参考にしてください。

業務改善で活用できるフレームワーク

BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)

BPMNとは、ビジネスプロセス管理を推進する上でとても重要なフレームワークの一つであり、業務改善においても大変有効なものの一つです。BPMの企画・実践・人材教育を支援する日本BPM協会は、BPMNについて次のように説明しています。
「BPMNは、業務を実行する際に、関係者が共通に理解しておくべき、仕事の始め方、役割分担、各担当の仕事内容、お客様とのやり取りなどのフローを記述する手法です。国際標準(ISO19510)になっています。」
引用:日本BPM協会「BPMとは」

言い換えれば、規格化された手法を用いて、ビジネスプロセスや業務プロセスを、図をもって可視化するためのフレームワークです。BPMNを使用すると、複雑な業務の流れや内容も、簡単に図に起こすことができ、業務全体の可視化を行うことができます。
さらに、その手法は規格化されているので、やり方さえ覚えれば業務改善プロジェクトに係る関係者全員の共通言語として機能します。
業務改善を始める上で、現状業務を可視化することはとても大切です。業務全体を見渡すことで、どこに問題があって何が原因なのか、を把握することができます。

ロジックツリー(決定木分析)

ロジックツリーとは、一つの問題に対し「なぜ?」を繰り返していくことで、根本の原因や、複雑な絡み合う原因の関係を把握するためのフレームワークです。図で確認する方が分かりやすいので、次の図をご覧ください。

引用:「Wikipedia 決定木」

引用:「図解と事例でわかるビジネス問題解決フレームワーク20選」

このように、一つの問題に対していくつも枝分かれした原因追及を行っていくのがロジックツリーです。ロジックツリーを実践する上で大切なことは「MECE」を意識することです。MECEとは、「漏れなく、ダブりなく」という意味で、枝分かれしていく原因の中で、漏れやダブりがあってはいけません。
もう一つ大切なことは、「原因の階層を合わせる」ということです。上記の「りんご売上低迷」の例で言えば、販売力・価格・質という階層に対して、「美味しくない」という原因を並べても階層が合っていません。「美味しくない」は質に分類されるものなので、質の下階層に位置されるはずです。
このように、漏れやダブりがあったり、階層の位置がおかしかったりすると、真の原因特定には結び付かないので注意しましょう。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、業務を通じて顧客に「価値」が届くまでのプロセスを、チェーン(鎖)のように繋げて図解するフレームワークです。
引用:「『バリュー・チェーン分析』の4つのステップ!事業のムダをなくして圧倒的な成長スピードを実現するフレームワーク
バリューチェーンは本来、顧客に価値が届くまでのプロセスを洗い出すことで、自社の強みを発見したり、反対に弱みを把握するためのものです。ただし、業務改善にも大いに活用できるフレームワークでもあります。
そもそも業務改善とは、最終的に顧客に届く価値を改善するためのものです。コスト削減や業務効率アップなど目先のことにとらわれがちですが、それらは最終的に、顧客に届く価値につながります。
そのため、バリューチェーンによって顧客に価値が届くまでのプロセスを細かく可視化して、どこに問題があるのかを把握するためにも活用できるのです。

5W2H

5W2Hはビジネスの基本として、新人研修時に習った方も多いのではないでしょうか。このビジネスの基本フレームワークは、業務改善にも適用できます。
改めて整理すると、5W2Hとは、「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How much(いくらで)」を表し、各要素を意識しながら仕事を進めていくためのものです。
業務改善では、問題定義に対する改善案を考える際に用います。「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように・いくらで」これらを意識しつつ改善案を立てることで、より具体的に、有効な改善を実施することが可能です。

PDCAサイクル

PDCAサイクルに関しては、知らないというビジネスパーソンはほとんどいないのではないかと思います。これは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」という4つの要素を一つのサイクルとして繰り返し回していくことで、より良い業務改善を実行するためのフレームワークです。
個人レベルから組織レベルまで、多様な規模やシーンに対応できるフレームワークでもあります。
ただし、業務改善において活用する上で注意しなければならないのが、「Plan(計画)」ではなく「Check(評価)」から始めるということです。業務改善ではまず現状を評価する必要があるので、「Check(評価)」に始まり「Act(改善)」で改善案を打ち立て、「Plan(計画)」で改善計画を立て、「Do(実行)」で改善案を実施していきます。

ECRS

ECRSとは業務改善の「順序」を表したフレームワークです。「Eliminate(取り除く)」「Combine(繋げる)」「Rearrange(組み替える)」「Simplify(簡単にする)」で構成されています。それぞれの意味合いは、次の通りになります。

• Eliminate(取り除く):この業務自体を無くすことは出来ないか、作業の一部をやめることは出来ないか
• Combine(繋げる):業務を一つにまとめることで効率化できないか
• Rearrange(組み替える):業務の順序・やり方を変更することで効率化できないか
• Simplify(簡単にする):業務を単純化できないか

業務改善のための改善案を立案する際は、Eliminateから順に検討していくことで、効果の高い改善を実施することができます。

まとめ

これらのフレームワークは、必ずしもすべて使用しなければならないというわけではありません。各フレームワークを使用することでの効果を理解し、業務改善の種類によって使いわけることが大切です。皆さんも、ここで紹介したフレームワークを活用し、正しく、効果の高い業務改善を実施してください。

資料ダウンロードはこちらから

以下の資料をクリックするとダウンロードサイトに遷移いたします。