最近、バズワードとなっている「RPA」等の単語と一緒に見かけることも多くなった「BPM」という言葉、皆さんご存じでしょうか?業務の継続的な改善を意味するBPMは昔からある言葉ですが、ここ数年で改めて日本で注目を浴びつつあります。このBPMとは、具体時にどのような事なのか?それの何が重要なのか?
今さら聞けない基本的な知識について、説明していきたいと思います。
BPM とは何か?
BPMとはBusiness Process Management:ビジネス・プロセス・マネジメントの略称です。
以前はBPMの前身である、マイケル・ハマーが生み出した、BPR(Business Process Reengineering:ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)という言葉が使われていました。ただ、BPRには継続的な改善の意味合いは含まれていない為、BPMという言葉が現在主流になっています。
BPMとは具体的に説明すると、業務プロセスの可視化、業務のムダやボトルネックを発見し、業務プロセスを最適化する事です。端的に言えば、「現状の業務プロセスを見直し、より良い姿へと改善していくこと」です。
日本BPM協会では、BPMを、業務プロセスの可視化・実行・改善といったPDCAサイクルを回し、業務課題の解決と、その組織能力を形成する経営手法として紹介しています。
なぜBPMが重要なのか?
一体、なぜBPMが重要なのでしょうか?
その大きな理由としては、日々変化するビジネスの中で、業務の課題を素早く見つけ、最適化していく事が企業の経営にとって必要不可欠だからです。企業の事業は多くの業務の繋がり(業務プロセス)から出来ており、それぞれの業務の改善を行うことによって、結果的に売り上げの向上であったり、事業全体の最適化を図ることが可能です。BPMの必要性が高まってきた背景には以下のような要因が考えられます。
例えば、働き方改革です。この法案の施行により、既存の働き方の見直しが求められている昨今、企業には目先の業務時間の短縮だけではなく、業務のプロセス自体の分析し、効率化・最適化する、業務改善の必要性が以前にも増してきました。
また企業のグローバル化も例として挙げられます。グローバル化により、多国籍な従業員が増えた為、それぞれの業務の標準化を行って行く必要性が以前にも増してきた事も理由の一つであります。
このような外的要因やめまぐるしく変化する市場に適応しながら経営を行っていくにあたって、既存の業務や業務の流れが果たして適切なのか?より改善できる点はないのか?考えていく事が市場の中で生き残って行くうえで重要なのです。
また、以下のような理由も挙げられます。
業務全体の可視化をしないと、業務改善に繋げられない。
BPMでは、PDCAのサイクルで業務改善を回していきますが、まずはじめにやらないといけない事が「業務の可視化」です。どの業務も様々な業務プロセスが絡み合って構成されている為、それらをまずは可視化し、全体像を把握しなけしなければ、問題点の把握や改善といった次のアクションに繋げることができません。業務の可視化を行い、現状の業務のプロセスの流れ、それぞれにかかる工数や人数といった事を認識するところから、業務改善は始まります。しかし、ここが行えていない日本の企業が以外にも多いのです。
特に日本は縦割り組織で、部をまたいだプロセスの全体像が不明確な点が多々あるので、尚更、可視化を通じて業務の全体像を明確にしておく必要性があります。
業務の標準化を行わないと、やがて組織としてのリスクに
業務の標準化と言うと、いわゆるさまざまな人がいる中での、共通認識を得られる地図のようなものです。
日本では長い間、個人の裁量に任せた属人的な仕事のやり方をしてきました。それは日本人が持つ職人意識であったり、阿吽の呼吸で仕事が上手く回せられる日本人の性質に起因する部分が多いと思われます。しかし、その人ありきな仕事のやり方は、いつまでも特定の社員のスキルに依存してしまう為、やがて組織としてのリスクに変わります。
その為、業務を標準化し、誰がその業務を行ったとしても同じようなアウトプットが出せるような制度の設計は必要不可欠なのです。
このように目先の経営改善だけではなく、業務プロセスの改善という根本的な改革を行うことによって、より組織の効率化・最適化に繋げていく事がいま日本の企業に求められていることなのかもしれません。
BPMを行うメリット
自社業務の全体像を掴むことができる
自社の業務の可視化を行うことによって、他部門を横断した自社全体を俯瞰する事が出来ます。日本は、縦割り組織の為、部をまたいだプロセスの全体像が不明確な点が多々あるので、そこがクリアになると社員同士のコミュニケーションもとりやすくなるでしょう。
業務の問題のボトルネックを発見する事が出来る
既存の業務の洗い出しをする中で、どこが業務の根本的な問題なのかを明らかにする事が出来ます。例えば、ある業務の処理時間が長すぎる原因の理由は、その業務を行う人数が少ないだけではなく、部門間で情報のやり取り・確認作業が都度発生している為、時間のロスが生まれている可能性があることも考えられます。
このように業務プロセスを洗いざらいする中で、今まで見えてこなかった潜在的な業務の問題が明らかになってくる事があります。
業務の自動化ツールを安価で導入が可能になる
業務の可視化を行い、継続的に改善を続けていけば、もし何か新しく業務の自動化ツールの導入を行うとなった際にも、安価で導入が可能です。なぜなら、どこまでが人間が行い、どこまでをロボット等で自動化するのかという棲み分けが既に出来ているからです。現状、よく自社のプロセスを理解せず、業務自動化ツールの導入が目的になってしまい、結果、ツール導入の予算オーバーや野良ロボット化で頭を抱える企業も少なくありません。その為、業務を予め可視化し、どこを自動化したいのか、できるのかをはっきりさせる事はとても重要なことです。
- 自社業務の全体像を俯瞰して見る事が出来る
- 業務の問題のボトルネックを発見する事が出来る
- 業務の自動化ツールを安価で導入が可能になる
BPMという言葉の意味や、それらが何故重要なのかお分りいただけたでしょうか?
業務改善のスタートはこのBPMにあるということを是非お見知り置きください。
業務可視化NOTE 運営事務局 編集担当