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【業務標準化の進め方】可視化→標準化→運用までの実務ステップ

【業務標準化の進め方】可視化→標準化→運用までの実務ステップ

業務標準化を進めたいが、何から始めるべきか分からない…そんな方向けに【可視化→標準化→運用】の実務ステップを整理します。BPOやシステム刷新、DXで失敗しやすいポイントも踏まえ、定型業務から無理なく進める手順と止まらない仕組み化の考え方を解説します。

業務標準化とは?「可視化」との違い、なぜ先に可視化が要るのか

業務標準化を進めようとすると、多くの現場で最初につまずきます。原因はシンプルで、標準化を「ルールを増やすこと」と捉えてしまうからです。実際の標準化は、ルールを増やすことよりも、誰がやっても同じ結果に着地できる状態を作ることに本質があります。

そして、その状態を作るためには、いきなり標準化に着手するのではなく、先に「可視化」が必要です。見えないものは管理できないので、まず現状を見える化し、そこから標準化へ進むほうが現実的で失敗しにくいです。

業務標準化の定義…ルール化ではなく「同じ結果が出る状態」を作る

業務標準化は、社内ルールや手順書を整備する話に見えますが、目的はそこではありません。標準化で作りたいのは、次のような状態です。

  • 担当者が変わっても同じ品質、同じ納期で業務が回る
  • 例外が起きても判断の基準が共有され、迷いが減る
  • システムが変わっても業務の前提が整理され、影響範囲が読める
  • 外部委託しても引き継ぎに必要な情報が揃い、コストが膨らみにくい

ここで重要なのは、標準化が「現場を縛るもの」ではなく、現場が迷わないための土台だという点です。標準がない状態は、自由に見えて実は負担が大きく、担当者ごとにやり方が違う分、確認や手戻りが増えます。

標準化は「全部を一律にする」ことではありません。標準化が成立しやすいのは、同じ条件なら同じ流れになる領域です。逆に、案件ごとに判断が変わる領域は、無理に一律化すると現場が壊れます。標準化は、対象と粒度を見極めることが前提になります。

観点標準化が向く標準化が難しい
業務の性質定型で手順が安定している案件ごとに判断が変わる
品質の定義同じアウトプットで良いアウトプット自体が毎回違う
例外の頻度例外が少ない、分類できる例外が多く分類しにくい

標準化が必要になる典型シーン(BPO・システム刷新・DX・属人化対策)

標準化は「やりたいからやる」よりも、実務では必要に迫られて始まるケースが多いです。特に、次のシーンで一気に必要性が顕在化します。

  • 【BPO】外部委託したいが、業務がバラバラで渡せない
  • 【システム刷新】入れ替えたいが、現状業務が分からない
  • 【DX】新しい運用に変えたいが、今のやり方が曖昧で設計できない
  • 【属人化対策】人が辞めると業務が回らない
  • 【組織再編・統合】統合するが、重複業務や差分が整理できない

この中でも、標準化と相性が良いのがBPOです。BPOは委託先に業務を渡すので、標準化されていないと「パターンが多すぎて委託費が高騰する」「委託先が運用できない」といった問題につながります。つまり、BPOの前提として標準化が不可欠です。

一方でシステム刷新は、標準化がないまま進めると「ベンダーに丸投げ」になりやすく、結果的に使いにくい仕組みになることがあります。自社が業務を理解していないと、提案の良し悪しを判断できません。だからこそ、刷新の前に業務の可視化と標準化が必要になります。

標準化の大前提…見えないものは管理できない(まず可視化)

標準化に入る前に、必ず押さえたい前提があります。それが、見えないものは管理できないということです。

例えば「業務を変えたい」「コストを下げたい」「外部に出したい」と思っても、現状の流れや作業量が見えなければ、何をどう変えるか判断できません。標準化は管理の手段なので、そもそも管理対象が見えないと進みません。

ここでいう可視化は、フローチャートだけではありません。業務の全体像を理解するために、表や一覧での整理も含めた「見える化」全般が対象です。実務では、次の2つをセットで見える化すると、標準化が進みやすくなります。

  • 【作業の流れ】誰が何をして次に何が起きるか
  • 【情報】判断材料、帳票、参照先、ルールがどこにあるか

「作業の流れ」を見える化する(フローチャートが効く理由)

作業の流れを見える化するなら、フローチャートが有効です。理由は、箇条書きだと全体の流れや前後関係が見えにくく、業務間の相関が把握しづらいからです。

標準化では、次のような確認が頻繁に発生します。

  • どこから始まり、どこで終わるのか
  • 誰が担当し、どの部署へ引き渡すのか
  • どのタイミングで判断が入るのか
  • どこで例外が起きるのか

この問いに答えるには、流れが見える形が必要です。フローチャートなら、工程の「つながり」が見えるので、俯瞰と理解が一気に進みます。

ここで大事なのは、最初から手順書レベルまで細かくしないことです。いきなり細かくすると、例外や分岐が増えすぎて止まります。まずは粗く全体を揃えることが、標準化の現実的な第一歩です。

「情報」を見える化する(帳票・手順・判断材料の棚卸し)

標準化が止まる理由の多くは、「流れ」ではなく「情報」にあります。業務は流れだけで回っていません。実際には、次のような情報が裏で支えています。

  • 使う帳票、テンプレート、入力フォーム
  • 参照する規程、ルール、過去事例
  • 判断基準、承認条件、例外時の対応
  • ファイルの保管場所、リンク先、システム画面

流れが同じに見えても、担当者の頭の中にある判断材料が違えば、結果は変わります。だから標準化では、判断材料を棚卸しして共有できる形にすることが重要です。

この棚卸しをしておくと、次のメリットが出ます。

  • 引き継ぎがラクになり、属人化が減る
  • 例外対応が整理され、迷いが減る
  • システム刷新の要件が具体化しやすい

定型業務から始める理由(標準化しやすく効果が出やすい)

標準化を成功させるコツのひとつは、対象選びです。最初は、定型業務から始めるほうが成功確率が上がります。

定型業務は、同じ流れで回るので「標準」が作りやすく、成果が見えやすいです。例えば経理や管理系の業務は定型比率が高く、標準化すると効果が出やすい代表例です。さらに、BPOとの相性も良く、外部委託の判断もしやすくなります。

逆に、イレギュラーが多い業務をいきなり標準化すると、「例外だらけで決められない」「細かくしすぎて終わらない」になりがちです。まずは標準化できる領域で成功体験を作ることが重要です。

対象選びの目安としては、次のように考えると分かりやすいです。

  • 頻度が高い業務から着手する
  • 手戻りが多い業務から着手する
  • 担当者が複数いてやり方が揺れている業務を狙う
  • 外に出したい候補業務を優先する

ここまでが、標準化の入口です。次の章では、実際に「可視化→標準化→運用」へ落とし込む具体ステップを、現場で回る形に整理していきます。

業務標準化の進め方…可視化→標準化→運用設計の実務ステップ(失敗しない順番)

業務標準化は「作ること」よりも「回すこと」が難しい取り組みです。だからこそ、順番が重要です。おすすめは、可視化→標準化→運用設計の流れを崩さないことです。

いきなり手順書を書き始めたり、ツール導入から入ったりすると、途中で止まります。現場の協力が得られない、粒度が揺れる、更新されない…といった失敗は、だいたい「順番のミス」から始まります。

ここでは、現場で実装しやすいように、4ステップに分解して解説します。どのステップでも共通するコツは、最初から完璧を目指さないことです。まず回る形を作り、運用しながら精度を上げるのが現実的です。

ステップ1…対象選定と目的設定(何のために標準化するかを固定する)

最初にやるべきは、対象業務の選定と目的設定です。ここが曖昧だと、後工程で必ず揉めます。なぜなら「標準化の正解」は目的によって変わるからです。

例えば、BPOのための標準化と、システム刷新のための標準化では、必要な粒度や成果物が変わります。目的が混ざると、成果物も中途半端になります。まずはこの標準化は何のためかを固定します。

目的標準化で決めたいこと成果物のイメージ
BPO外に出せる業務と条件標準手順+例外条件+引き継ぎ情報
システム刷新要件と現状の論点業務フロー+システム接点+データの流れ
DX現状と理想の差分As-Is/To-Be+新ルール+新KPI

目的が定まったら「対象の切り方」を決めます。いきなり全社でやろうとせず、まずは定型で効果が出やすい領域から始めるのがおすすめです。

BPO前提…切り出し判断のために「定型/判断」を分ける

BPOを考えるなら、最初にやるべきは「業務を分けること」です。BPOで外に出しやすいのは、判断を伴わない定型業務です。逆に、判断が多い業務は外に出しにくく、外に出してもコストが上がります。

だから対象選定では、業務を次の2つに分類します。

  • 【定型】条件が揃えば同じ流れになる業務
  • 【判断】ケースに応じて判断が変わる業務

この分類ができるだけで、BPOの検討は一気に進みます。BPOの前段は、実質「切り出し判断」のための標準化だと考えると分かりやすいです。

システム刷新前提…ベンダー丸投げを避けるための現状把握

システム刷新でよくある失敗が「ベンダー丸投げ」です。ベンダー側が悪意を持っていなくても、業務側が分かっていないと、提案の妥当性を判断できません。その結果、使いづらい仕組みになったり、費用だけ膨らんだりします。

刷新のための標準化で重要なのは、システム導入そのものよりも、自社が業務を理解している状態を作ることです。最低限、次の情報が揃うと交渉力が上がります。

  • 業務の流れが説明できる
  • どこで誰が入力しどこで誰が参照するかが言える
  • どこがボトルネックかが分かる
  • 例外が何かが整理されている

この状態を作ってから刷新に入ると、要件定義もスムーズになり「後から炎上」が減ります。

DX前提…新しいやり方を作るために「現状→理想」のギャップを見る

DXの標準化は、単に今の業務を揃える話ではありません。DXは「プロセス改革」なので、新しいやり方を作ることが主目的になります。

この場合は、現状をそのまま標準化するのではなく、次の2つをセットで扱います。

  • 【現状】今どう回っているか
  • 【理想】どう回るべきか

ポイントは「理想の状態」を曖昧にしないことです。理想が曖昧だと、標準化はただの文書化で終わります。DX前提なら、理想を「結果」で定義すると進みやすいです。

  • 納期を何日短縮したい
  • 承認回数を何回減らしたい
  • 入力回数を何回にしたい
  • 問い合わせを何割減らしたい

ステップ2…現状可視化(As-Is)…まずは粗く、全体の流れを揃える

次は現状可視化です。ここでの目的は「完璧な手順書を作ること」ではありません。最初のゴールは、全体の流れを揃えることです。

現状可視化でありがちな失敗は、最初から細かくしすぎることです。細かくすると、例外が増え、粒度が揺れ、関係者の合意も取りにくくなります。まずは「粗く揃える」ほうが結果的に早いです。

箇条書きよりフローチャート…前後関係・相関が一目で分かる

現状可視化は箇条書きでもできますが、標準化まで見据えるならフローチャートが有効です。理由は、フローチャートのほうが前後関係と相関を確認しやすいからです。

標準化で必ず出てくる問いは、次のようなものです。

  • この作業の前提は何か
  • この入力の後に何が起きるか
  • 承認が必要なのはどこか
  • 別部門への引き渡しはどこか

これらを一気に整理できるのがフローチャートです。迷ったら「まず流れを図にする」と覚えておくと外れません。

粒度の揃え方…手順書レベルまで落としすぎない

現状可視化では、粒度を揃えることが最重要です。粒度が揃わないと、標準化の議論が噛み合いません。

おすすめは、最初は「業務の外形」を揃えることです。例えば営業なら、見積作成、受注、引き渡し…といった流れは整理できます。一方で、顧客対応の中身まで細かく書くと、個別性が強くなり止まります。

粒度の目安は、次のどれを狙うかで決めると分かりやすいです。

  • 【粗め】業務の全体像を揃える
  • 【中くらい】引き継ぎができるレベルにする
  • 【細かめ】手順書としてそのまま使う

最初は粗めか中くらいで始め、運用しながら必要な箇所だけ細かくするほうが現実的です。

例外(イレギュラー)の扱い…パターン化できる範囲で括る

標準化で必ず出てくるのが例外です。例外を全部書き始めると、フローが破綻します。コツは「例外をゼロにしない」ことです。例外は必ずあるので、パターン化できる範囲で括るのが現実解です。

  • 例外は発生条件で分類する
  • 例外は別ルートとしてまとめる
  • 例外は補足情報として紐付ける

例外が多い業務ほど、まずは「標準ルート」を作り、その後に例外を増やす手順が安全です。

ステップ3…標準化(To-Be)…標準ルートと例外ルートを決める

現状が揃ったら、次は標準化です。ここでやることは、標準ルートを決めることです。標準化は「全部を決める」ではなく「迷わない状態にする」ことです。

標準の決め方…最頻ルートを基準にして「迷わない」状態にする

標準ルートの決め方でおすすめなのは、最頻ルートを基準にすることです。実務では、多くのケースで「一番よくある流れ」が存在します。そこを標準として固定すると、現場の合意が取りやすくなります。

よくある誤解は「理想の流れを標準にする」ことです。理想は大事ですが、現状とかけ離れすぎると現場がついてきません。まずは最頻ルートで標準を作り、改善は次の段階で積み上げるほうが回ります。

判断ポイントの明確化…担当者の頭の中を“条件”として外に出す

標準化の難所は判断です。標準化が進まない現場は、判断が「担当者の経験」に依存しています。そこで必要なのが、判断を条件として外に出すことです。

例えば次のように整理します。

  • どの条件ならAルートに進む
  • どの条件ならBルートに進む
  • 判断に必要な情報は何か
  • 確認先はどこか

この整理ができると、属人化が減り、例外対応も安定します。「判断は残る」ことを前提に、判断の根拠だけを共有できる形にするのがポイントです。

成果物の形…フロー+関連情報(帳票・規程・FAQ)の紐付け

標準化の成果物は、フローだけでは不十分です。現場が困るのは、フローの横にある情報です。だから、成果物はフローと情報をセットで持つほうが運用が安定します。

  • 帳票、テンプレート
  • 規程、ルール
  • FAQ、過去事例
  • システム画面、入力項目
  • 保管場所、参照リンク

この形にできると「探せない」が減り、標準が現場に浸透します。標準化は文書を作る仕事ではなく、現場が迷わず動ける環境を作る仕事だと捉えるとズレにくいです。

ステップ4…運用設計(維持・更新)…作って終わりを防ぐ仕組み化

最後に運用設計です。ここがないと、標準化は高確率で風化します。業務は変わるので、更新されない標準はすぐに役に立たなくなります。だから、最初から維持と更新の仕組みを作っておきます。

役割分担…事務局・現場・承認者の責任範囲を決める

運用設計で最初に決めるべきは役割です。誰が何をするかが曖昧だと、更新が止まります。

役割主な責任具体的な作業
事務局全体の維持管理更新依頼の受付、版管理、周知
現場内容の正確性変更点の申告、例外の共有
承認者標準の妥当性変更承認、ルール決定

ここでのポイントは、標準化を「現場任せ」にしないことです。現場は忙しいので、更新の事務負担が重いと止まります。事務局が仕組みを支えることで回りやすくなります。

更新トリガー…組織変更・システム変更・監査指摘・事故を契機に回す

更新を回すには、タイミングを決めておくとラクです。更新トリガーを先に決めておくと「いつ更新するか」で揉めません。

  • 組織変更があったとき
  • システム変更があったとき
  • 監査指摘が入ったとき
  • 事故やトラブルが起きたとき
  • 期初や四半期など定期レビューのタイミング

「何か起きたら更新」だけだと忘れます。定期レビューを入れておくと、更新が形骸化しにくいです。

共有方法…文書管理/ツール/リンクで「探せない」をなくす

最後は共有です。標準化が浸透しない最大の理由は「どこにあるか分からない」です。探せない標準は存在しないのと同じです。

共有では、次の3点を決めると運用が安定します。

  • 置き場所を一つに決める
  • 最新版がどれか分かるようにする
  • フローと関連情報をリンクで辿れるようにする

文書管理でも、ツールでも、共有ドライブでも構いません。重要なのは、現場が迷わない導線です。標準化は作る仕事ではなく、使われ続ける状態を作る仕事なので、共有設計まで含めて完成と考えるのがコツです。

業務標準化が止まる原因と対策…現場抵抗・粒度ブレ・丸投げを避ける

業務標準化は、やり方そのものよりも「止まり方」が似ています。止まる原因は大きく3つです。

  • 現場が協力しないので情報が集まらない
  • 成果物が目的に合わないので使われない
  • 内製と外注の設計が悪いので進まない、または依存が残る

逆に言えば、この3つを事前に潰せば、標準化は回りやすくなります。ここでは、よくあるつまずき方と、現実的な対策をセットで整理します。

つまずき1…現場が協力しない(時間を取られる/意味が分からない)

標準化が止まる一番多い理由は、現場が協力しないことです。現場から見ると、ヒアリングやフロー作成は「追加の仕事」です。しかも、最初は成果が見えにくいので、こうなりがちです。

  • 時間を取られるだけで自分の仕事が進まない
  • 何のためにやるのか分からない
  • やったところで何が変わるのか想像できない
  • 可視化されると監視される気がして嫌だ

この状態のまま進めると、情報が集まらず、フローは穴だらけになり、結局「使えない成果物」が出来上がります。だからここは、技術よりも体制と周知で解決します。

対策…トップダウンで「会社の業務」と周知する

現場抵抗の対策はシンプルです。トップダウンで周知することです。現場の善意や熱意に頼ると、ほぼ確実に止まります。

周知で最低限そろえるべき要素は、次の3つです。

  • これは会社の業務であり、通常業務の一部であること
  • 目的と、達成したい状態
  • 現場にとっての得…手戻り削減、引き継ぎ改善、ムダ削減など

伝え方としては、次のように「短く」「強く」示すと通りやすいです。

  • 【期限】いつまでにどこまで整備するか
  • 【優先】どの業務からやるか
  • 【協力】誰が何時間協力するか

さらに効果が高いのは、最初に「目的と進め方を説明する場」を作ることです。標準化は「なぜやるか」を共有できるかで、協力度が大きく変わります。

また、現場の負担を減らす工夫も効きます。例えば、ヒアリング時間を固定し、資料の形式を統一し、事務局側で整形する。こうすると「現場の仕事が増える」感が下がります。

つまずき2…成果物が目的に合わない(粒度が揃わない/見づらい)

次に多いのが「作ったけど使えない」パターンです。標準化は作成コストが高いので、使われないと致命的です。典型は次の2つです。

  • 粒度が揃わない…部署ごとに細かさがバラバラ
  • 見づらい…流れが追えない、必要な情報が見えない

この問題の根っこは、最初に「何のための成果物か」が決まっていないことです。目的が違えば、必要な見え方が変わります。なのに、同じ型で作ろうとするとズレます。

対策…目的別に“必要な見え方”を最初に定義する(刷新/BPO/統制)

対策は、最初に目的別の見え方を定義することです。ここを決めるだけで、粒度と構造が揃いやすくなります。

目的別の「最低限必要な見え方」の例を整理します。

目的成果物で必須になる見え方よくある失敗
BPO標準ルート例外条件 入力・出力、引き継ぎ情報 業務量の目安、頻度例外が多すぎて外に出せない形になる
システム刷新業務フローにシステム接点を重ねる データの流れを混ぜずに整理する 部門間の受け渡しフローはあるがシステム視点がなく要件に落ちない
内部統制統制ポイント、承認、証跡 リスクとコントロールの対応 責任者、頻度、根拠資料フローだけで統制の論点が追えない

この定義をした上で、作り方のルールも揃えます。例えば次のような基準です。

  • 粒度の基準…まずは粗く、全体像が揃うレベル
  • 例外の扱い…別ルートか補足か、どちらに寄せるか
  • 表現の統一…泳線、矢印、ラベルの付け方

成果物の品質は「作図の上手さ」よりも、目的と表現ルールで決まります。

つまずき3…内製化で進まない/外注で依存が残る

標準化の推進体制で悩むのが、内製と外注のバランスです。内製だけでやろうとすると、知識と経験が不足して止まることがあります。逆に外注で丸っと作ると、納品はされても、運用が回らず依存が残ります。

どちらの失敗も、原因は同じです。標準化は作って終わりではなく、更新し続けるものだからです。

対策…経験は外から買い、運用は内に残す(アドバイザリー活用)

現実的にうまくいく型は、経験は外から買い、運用は内に残すです。つまり、外部を作業者として使うのではなく、経験者として使います。

おすすめの分担は次のイメージです。

  • 外部…進め方の設計、粒度基準の設定、レビュー、教育
  • 社内…ヒアリング、一次ドラフト、更新運用

この形にすると、最初の立ち上げは早くなり、同時に社内にノウハウが残ります。外部を入れる意味は、単なる作業量ではなく、知識・経験・時間を買うことです。

また、内製化が失敗しやすいポイントは「目的に合わない成果物になること」です。これを防ぐには、外部に目的に対する成果物レビューをしてもらうのが効果的です。作るのは社内でも、判断と品質基準を外部が支えると、迷いが減ります。

最後に重要なのは、外注で成果物ができても、更新できないなら意味がないことです。だから「最初から更新前提で作る」…これが、内製と外注のどちらを選ぶ場合でも、共通の正解になります。

【まとめ】業務標準化の進め方…可視化→標準化→運用までの実務ステップ

業務標準化は、ルールを増やすことではなく【誰がやっても同じ結果が出る状態】を作る取り組みです。そのためには、まず現状を可視化して流れと情報を揃え、次に標準ルートと例外条件を決め、最後に更新できる運用へ落とし込む順番が重要です。現場抵抗や成果物のズレは、目的定義と体制設計で先に潰すと失敗しにくくなります。

  • 標準化の前に可視化…見えないものは管理できない
  • 目的を固定…BPO/刷新/DXで必要な見え方が変わる
  • 定型業務から着手…効果が出やすく標準にしやすい
  • 標準と例外を分ける…迷わない判断条件を外に出す
  • 運用設計までが本番…役割と更新トリガーで回し続ける
可視化プロジェクト絶対に失敗させないための7つのステップ
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ABOUT US
市橋 憲茂
市橋 憲茂(株式会社サン・プラニング・システムズ)
【業務プロセスの可視化・改善で20年】業務の見える化、業務シミュレーション分析による業務改善を推進。営業、コンサルタントを経て、現在はその価値を発信するマーケティング部門の責任者として、業務可視化の重要性を広く伝えながら、企業の改革を後押ししています。