新規株式上場(IPO)における内部統制構築のポイント

新規上場(IPO)における内部統制構築のポイント

[特別企画] 仰星マネジメントコンサルティング × サン・プラニング・システムズ
2013/01/28掲載

この記事は新規上場(IPO)から内部統制構築まで幅広く支援されてきた仰星マネジメントコンサルティングの金子彰良氏にご執筆頂きました

 

はじめまして、仰星マネジメントコンサルティングの金子彰良と申します。弊社では、内部統制報告制度対応支援や株式上場支援などのコンサルティングサービスを提供しております。

株式上場を目指す企業では、企業側が大きな費用をかけることもできず、また自力で対応せざるを得ないことも少なくないことから、弊社がツールやマテリアルといった具体的なノウハウと必要最低限の助言・アドバイスを提供することで推進してもらっています。

新規株式上場した企業数は2010年以降増加を続け、2013年も4年連続の増加の見込み(7月までで26社-日本取引所グループ)でこの傾向はしばらく続く模様です。

さて、この株式上場準備期間においては、現業業務との兼務のなかで管理体制の整備に関連した種々の要件をクリアしていかなければならず、時間及び費用をなるべくかけず効果的なアプローチをとっていくことが求められます。

本ページでは、上場準備において、負荷が高いながらも後々の対応になってしまい多くの企業様が苦労されている内部統制報告制度への対応について、そのポイントをご説明します。

 

上場準備会社における内部管理体制整備の難しさ

株式を証券取引所に上場するためには、株主数、流通株式数等のいわゆる形式要件の他に「内部管理体制の有効性」等の適格要件(実質要件)を満たすことが必要です。

たとえば、東京証券取引所のマザーズの適格要件は以下のようなものです(有価証券上場規程第214条)。

東京証券取引所のマザーズの適格要件

(1)企業内容、リスク情報等の開示の適切性

企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること

(2)企業経営の健全性

事業を公正かつ忠実に遂行しているこ

(3)企業のコーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性

コーポレートガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること

(4)事業計画の合理性

相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計画を遂行するために必要な事業基盤を整備していること又は整備する合理的な見込みのあること

(5)その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

上記適格要件は、複数の項目に亘っていますが、共通するのは、適切な開示を可能とする管理体制、経営の健全性を担保するための管理体制、コーポレートガバナンス・内部統制報告制度対応を含む内部管理体制、合理的な事業計画を立案遂行するための管理体制など、「管理体制」の整備であると言えます。管理体制を整備することにより、プライベートカンパニーからパブリックカンパニーへの脱皮が求められているのです。

「管理体制」の整備は、トップマネジメントからミドルマネジメント、現場のマネジメントと広範囲に亘りますが、形式要件のように明確な基準がないため、また、業界・会社ごとの制約条件があるため、どこまで整備すれば必要十分なのか、落としどころが判断しにくく、対応に苦慮するケースが多く見受けられます。仰星マネジメントコンサルティングでは、制度上必須であり、かつ、範囲が広く、整備のみならず運用まで要求されるため準備に時間がかかる内部統制報告制度対応を幹に各種管理体制の整備を進めていく方法を推奨しています。以下では特に準備に時間がかかる業務プロセスに係る内部統制の構築ポイントについて解説します。

 

いかにして内部統制を構築するか

IPOと内部統制

上場企業においては、金融商品取引法に定める内部統制報告制度に対応する必要があります。すなわち、経営者は、財務諸表のみならず、内部統制がどの程度有効に機能しているか自ら評価し報告することになります。そして、その評価結果については監査法人等の監査を受けることになります。

その前提として、上場準備期間中に内部統制を構築し、評価と監査が可能となるように内部統制の状況を文書化するといった準備が必要となります。

経営者と内部統制

内部統制報告制度が直接目的としているのは「財務報告の信頼性確保」であり、事業遂行のプロセスでチェックをする、すなわちブレーキをかけるイメージになります。しかし、内部統制は本来そのフレームワークにおいて「業務の有効性及び効率性を高める」という目的もあり、これは事業遂行のプロセスを加速させる、すなわちアクセルを踏むためのイメージになります。

経営者にとって内部統制を構築する際に一番大切なことは、アクセルとブレーキを上手に踏み分けながら、ブレーキとなるチェック機能の落としどころを探っていくことです。

内部統制構築のステップ

上場準備期間中に内部統制の構築を進める場合、一般的には次のようなステップを踏みます。

構築ステップ

ステップ1

金融商品取引法に定める内部統制報告制度の内容を理解するとともに、評価対象範囲を仮決定する。自社内にコアとなる内部統制構築の推進メンバーを育成する。

ステップ2

自社(グループ)の現在の内部統制をレビュー(棚卸)し、コアとなる推進メンバーが中心となって内部統制の整備状況の文書化に着手する。未整備事項をはじめ、制度対応することでどのような影響が発生するのかを評価して、およその作業ボリュームを把握する。

ステップ3

文書化した内容について、現場における適用状況をウォークスルー技法など利用して検証する。社内関係者に向けてより広く内部統制報告制度の内容を理解してもらうための研修会などを開催する。特にリスクとコントロールについて現場との共有を図り、文書の更新と未整備事項に関する整備計画を作成する。

ステップ4

現場において期待どおりに内部統制が運用されていることをテストするために、評価体制と評価手続を策定する。テストによって不備が発見された場合は、不備を是正して、その是正状況を確認する。

上場の申請期からは監査法人等による内部統制監査が必要となるため、直前期には、未整備事項がすべて整備されたうえで経営者による評価のしくみが運用された状態となっている必要があります。

内部統制報告制度対応に関するこれらの一連の準備には、相当の時間がかかりますので、計画的に進めていく必要があります。

 

現場に負荷を掛けてしまう業務プロセス統制

業務プロセスに係る内部統制の構築ポイント

金融商品取引法に定める内部統制報告制度の対応のうち、業務プロセスに係る内部統制の構築は、販売・購買・在庫プロセスなど企業の価値を直接生み出す業務プロセスの整備そのものであり、その活動結果として外部財務報告の数字にもつながる重要なプロセスを取り扱います。

ここで注意をしなければいけないのが、この業務プロセスに係る内部統制の整備を、財務報告の信頼性を確保することだけを目的として構築していくと、ブレーキ面だけが強調されてしまい、結果として会社経営のバランスを逸することになる可能性があるということです。

仰星マネジメントコンサルティングは、財務報告リスクを軽減するブレーキ機能と業務の有効性・効率性を高めるアクセル機能の両方のバランスが取れた内部統制の構築を支援しています。

業務プロセスに係る内部統制は負荷が大きい

上場準備で経営管理の整備の諸課題のうち、内部統制報告制度の対応は相当の時間がかかりますが、とりわけ業務プロセスに係る内部統制は事業部門を含めた会計情報の生成プロセスを対象とするため、組織内で制度内容を理解してもらう取り組みや、3点セット呼ばれる文書化作業、整備状況および運用状況の評価作業では思いのほか、多くの企業が苦労をされています。

例えば、私たちもコンサルティングを通じて、内部統制の構築現場では次のような声をよく聞きました。

プロジェクト現場の声

・文書化の作業及びそのメンテナンスの負荷が最も大きい

・一般的には馴染みのないウォークスルーなどのやり方そのもののノウハウがない

・財務報告上のリスクやアサーション、コントロールのイメージが理解し難い

・キーコントロール、補完コントロールなどの概念が難しい

・サンプリングの考え方と母集団の関係のアドバイスが欲しい

・総合評価の考え方が整理できていない

 

外部に頼り切らずに自力で対応したい企業様へ

仰星マネジメントコンサルティングでは、このようなニーズに応えることと、これからIPOを目指す企業を含め自力で対応せざるを得ない中堅企業への具体的なノウハウを提供しています。

これらの課題に直面しながらも、どうすれば時間と費用を無駄にかけずに内部統制の構築を進めることができるのでしょうか。そのポイントは3つあります。

課題解決の3つのポイント

1.業務記述やリスク・コントロールなどは、標準的なテンプレートを活用して時間を削減する。

2.必要最低限の回数で外部専門家の助言を活用する。

3.必要な文書作成は実績のある専用のツールを用いる。

仰星マネジメントコンサルティングでは、これから新規株式上場を目指す企業が時間と費用をかけずに自力で対応できるよう具体的なノウハウをご提供しています。

詳しくは下記をご覧ください。

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