【業務フロー 書き方】初心者でも5分でわかる!見やすく伝わる図の作り方

【業務フロー 書き方】初心者でも5分でわかる!見やすく伝わる図の作り方

業務フローの書き方を正しく理解することは、業務改善・標準化・属人化防止の第一歩です。本記事では、業務フローの基本概念から、作成手順、図形ルール、テンプレート活用、運用管理までを体系的に解説します。初心者でもすぐに実務へ活かせる「見やすく・使える業務フロー図」の作り方を学べます。

目次

業務フローとは何か(基礎理解編)|業務フロー 書き方の基礎

市橋憲茂
この章では、「業務フロー」と「業務フロー図」の意味、目的、効果を最短で押さえます。最初に全体像を理解してから作図に入ると、迷いが減って完成までが速くなりますよ。

① 業務フロー/業務フロー図とは(業務フロー 書き方の前提)

業務フローは、組織で行われる一連の仕事の流れ(開始条件→処理→判断→終了条件)を論理的に並べ、誰が・何を・いつ・どの順で・どの情報を使って・どの成果物を出すかを明確にしたものです。

業務フロー図は、その流れを視覚化する図解表現です。代表的には以下の要素で構成します。

  • 開始・終了 … プロセスの入り口と出口(契機・完了条件)
  • 処理(アクティビティ) … 人やシステムが行う作業
  • 判断(条件分岐) … Yes/No・複数条件で分岐
  • 入出力 … 入力データ、帳票、画面、ファイル、APIなど
  • スイムレーン … 担当部署・役割・システムごとの区画
  • フロー線(矢印) … 手順の順序・方向

「業務フロー 書き方」を考える際は、読み手が最短で理解できる最小限の記号と統一ルールに絞ることが重要です。

② 業務フローの目的・効果(業務フロー 書き方の目的整理)

  • 可視化と合意形成 … 関係者が同じ絵を見て議論でき、前提の食い違いを減らせます。
  • 抜け漏れ・重複の発見 … 手戻りや二重入力、不要承認などのムダが見えます。
  • 標準化・教育 … 新人・異動者へのオンボーディング資料として機能します。
  • 改善・自動化の設計図 … RPA/ワークフロー/ERP連携などの要件定義の土台になります。
  • 内部統制・品質保証 … 証跡、職務分掌、承認統制を設計・点検しやすくなります。
結論
目的に沿って粒度と範囲を調整し、意思決定に足る情報量に整えることが成功の鍵です。

③ 業務プロセス・手順書・業務マニュアルとの違い(業務フロー 書き方の用語整理)

業務フロー図=全体俯瞰の地図手順書=現場の操作ガイドという役割分担が基本です。

比較表 … 業務フロー vs 手順書 vs プロセス図(業務フロー 書き方の観点)

項目 業務フロー図 手順書 プロセス図(プロセスアーキテクチャ)
目的 業務の流れを俯瞰し、関係者の共通理解と改善の土台を作る 具体作業のやり方を誰でも再現できるようにする 事業全体のプロセス体系・階層・関係性を定義する
対象範囲 1つの業務〜サブプロセス単位 タスク単位(画面操作・帳票記入など) 企業全体〜部門横断の上位構造
粒度 中粒度(処理・判断・入出力) 細粒度(クリック、入力項目、注意点) 粗粒度(プロセス名、関係、KPI)
利用者 業務担当、管理者、IT、監査 現場オペレーター、新人 経営層、業務設計者、BPR担当
更新頻度 変更時に随時(版管理が重要) 手順変更のたびに頻繁 組織・事業変化時に見直し
成果物の例 スイムレーン図、フローチャート 操作手順書、チェックリスト プロセス階層図、プロセスマップ
ワンポイント
フローで「何をするか」、手順書で「どうやるか」を分担する。プロセス図は上位の設計図として統制する。

④ 用途別に見る業務フロー活用ケース(引継ぎ・改善・システム導入 など|業務フロー 書き方の活かし方)

  • 引継ぎ・教育 … スイムレーンで役割を明示し、関連帳票や画面をリンク。
  • 改善・標準化 … 重複作業・手戻り・待ちを特定し、削除・統合・自動化を検討。
  • システム導入・要件定義 … As-Is/To-Beの差分を機能要件・業務ルールへ。
  • 内部統制・監査対応 … 承認経路・職務分掌・証跡を明文化。
  • ナレッジ共有 … 部署間のインターフェースを明確化し認識差を縮小。

書き始める前の準備フェーズ|業務フロー 書き方の下準備

市橋憲茂
迷走を防ぐカギは目的・範囲・関係者・粒度・レビューを先に決めることです。

① 目的・対象範囲を明確にする(業務フロー 書き方の出発点)

  • 目的 … 属人化解消、教育、改善、要件定義、監査対応 など
  • 評価指標 … 指摘件数減、引継ぎ期間短縮 など
  • 対象範囲 … 例)見積~受注の「受注処理」まで 等
  • 前提・除外 … 障害手順は除外 等

完成定義(DoD)の例 … 「レビュー2回完了し、Aランク指摘0件・Bランク3件以内でv1.0」

② 関係者・部署を洗い出す(業務フロー 書き方のステークホルダー整理)

  • 人の役割 … 営業、受注、経理、物流、品質保証、CS 等
  • システム … 受注、在庫、会計、WF、CRM 等
  • 外部 … 仕入先、物流、顧客、監査人 等
関係者 責任(R/A/C/I) 主な入力 主な出力 レビュー観点
営業部 R 見積依頼、顧客情報 受注申請、契約情報 承認条件、必要書類
受注管理 A 受注申請 受注確定、在庫引当指示 重複防止、マスタ整合
会計 C 請求条件 請求書、債権計上 計上タイミング、証憑
監査 I 統制設計 改善指摘 承認統制、追跡性

図はシンプル、詳細は台帳。例外が出たら台帳に追記し、図の肥大化を防ぐ。

③ 業務構成要素を分類・整理する(業務フロー 書き方の材料集め)

  • 業務・作業 … 受注登録、契約確認、在庫引当、承認、請求発行
  • 入力 … 申請フォーム、顧客マスタ、契約書、見積データ
  • 出力 … 受注番号、引当結果、請求書、通知メール
  • 判断条件 … 金額閾値、取引区分、在庫可否、信用限度
  • 例外 … 在庫不足、与信停止、入力不備、返品

ワークシート例 … 業務分解シート・構成要素表(業務フロー 書き方の台帳化)

No 作業名 実行主体 主な入力 主な出力 判断条件 注意点/例外
01 受注申請の起票 営業 見積書、顧客情報 受注申請 見積有効期限内 添付漏れ注意
02 承認判定 上長 受注申請 承認/差戻し 金額閾値 特価は追加承認
03 受注登録 受注管理 承認済申請 受注番号、在庫引当指示 顧客マスタ存在 二重登録防止

④ 粒度感の決定と分割基準(業務フロー 書き方のスコープ設計)

  • 1アクティビティ=1~2文で説明できる単位
  • 主体変更/入出力変更/判断挿入で工程を区切る
  • レーン数は先に固定、例外は別図や注記に退避

⑤ 事前レビュー案出・仮設フロー試案(業務フロー 書き方の初期レビュー)

  • 開始・終了・主経路のみの骨格図を共有
  • レビュー観点(開始条件/承認/入出力/例外/KPI)を配布
  • ドラフトはver0.x、本番は1.xで管理
チェック項目 判定 コメント
開始/終了条件は明確か OK/要修正 例 … 「受注申請承認」を終了条件に追加
例外処理は過不足ないか OK/要修正 在庫不足時の振る舞いを追記
承認経路と権限が妥当か OK/要修正 特価の追加承認者を定義
入出力の整合が取れているか OK/要修正 受注番号の採番タイミングを明確化
ヒント
「骨格→肉付け→整形」で手戻りを最小化。

図形・記号・ルールの基礎|業務フロー 書き方の共通ルール

市橋憲茂
覚える図形は最小限、ルールは全員で統一。これが読みやすさのカギです。

① 基本図形・記号一覧(開始/処理/判断/入出力 他)

図形 名称 用途
端子(開始・終了) プロセスの開始・終了 「受注開始」「請求完了」
処理(アクティビティ) 人やシステムの作業 「見積作成」「受注登録」
判断(条件分岐) Yes/No・多岐分岐 「在庫あり?」「閾値超過?」
入出力 データ・帳票・画面・ファイル 「顧客情報入力」「CSV出力」
ドキュメント 申請書・契約書など 「受注申請書」「承認記録」
接続子(リンク) 別ページ・他フローへの接続 「→受注処理フローへ」
ポイント
図形の種類を絞るほど、保守性と読みやすさが向上。

② フロー線・矢印ルール(方向性・交差回避・矢印文字)

  • 進行方向を統一(左→右 or 上→下)
  • 交差回避 … ブリッジ or 図の分割
  • 矢印文字 … Yes/No・承認/却下を明記
  • 接続点の整列 … 中央/ポートに揃える

③ スイムレーン(担当・組織区分を表現する方法)

  • 水平レーン(一般的)/垂直レーン(複雑向け)
  • 人とシステムを分けてIT依存を可視化
  • 原則4~6本以内に抑える
営業部 受注管理部 会計部
受注申請を作成 承認フローを回付 請求書を発行
顧客情報入力 在庫確認 入金確認

④ 複雑構造 … 分岐/ループ/結合子の扱い方(業務フロー 書き方の応用)

  • 分岐 … ◆にYes/Noなどラベルを明記
  • ループ … 戻り条件を注記(例 … 添付不備→再申請)
  • 結合子 … 結合A/Bなど番号で往復を対応付け

⑤ デザイン・視覚ルール(余白・配置・グルーピング)

  • 余白=図形高さの1/2を確保
  • 整列 … 左端・中央を揃える
  • グルーピング … フェーズ単位で枠線・背景
  • テキスト … 中央揃え・折返し最小
  • 凡例 … 右下に記号の意味をまとめる

⑥ 書くときの4原則(シンプル・統一・目線・可変性)

  1. シンプル … 1フロー=1目的
  2. 統一 … 図形・色・方向を統一
  3. 目線 … 左上→右下へ自然誘導
  4. 可変性 … 将来変更に備えスペース確保

実践ステップ … 業務フロー図の作成手順|業務フロー 書き方の実践

市橋憲茂
骨格→肉付け→整形の順で、誰が読んでも同じ解釈になる図に仕上げます。

① 全体仮案をざっと描く(業務フロー 書き方のスタート)

  • 開始条件・終了条件・主要フェーズ(3〜5)を箱で配置
  • 主経路のみ左→右で一本通す
  • フェーズ名は動詞+名詞(例 … 申請受付/承認判定)

② 各業務ステップの記入(業務フロー 書き方の肉付け)

  • 基本は処理→判断→入出力の順
  • 1ステップ=1アクション、主体が変わる所で区切る
  • 例外や注意は脚注・別表へ退避

③ 分岐・条件を表現(業務フロー 書き方の分岐設計)

  • ◆にYes/Noなど分岐ラベルを明記
  • ルール文は短く(例 … 金額>100万円?
  • 1判断の分岐数は2〜3までを原則

④ 繰返し・例外処理の組み込み(業務フロー 書き方の例外設計)

  • 戻り線(ループ)は短く単純に
  • 例外が多い場合は例外専用の小フローへ分離

⑤ 拡張可能性を考慮した構造設計(業務フロー 書き方の将来拡張)

  • 別図へ分割し接続子で関連付け
  • リンクは結合A/Bなど番号で往復対応
  • 共通処理は共通フロー化して冗長性を防止

⑥ レビュー・抜け漏れチェック(業務フロー 書き方の品質確保)

  • 開始/終了の明確さ
  • 入出力の整合
  • 承認・職務分掌
  • 例外処理
  • システム境界
  • 読みやすさ

抜け漏れチェックリスト(テンプレート)|業務フロー 書き方の品質基準

チェック項目 判定 コメント
開始/終了条件が明記 OK/要修正 開始=申請起票、終了=承認記録 等
入出力が全処理に紐づく OK/要修正 入力=申請、出力=承認/差戻し
判断条件が文章で明示 OK/要修正 金額>100万円? 等
例外/ループが簡潔 OK/要修正 添付不備→再申請 等
承認・職務分掌が表現 OK/要修正 特価時の追加承認 等
線の交差最小化 OK/要修正 必要なら別図・接続子へ
凡例/注記の付与 OK/要修正 記号意味、略語、データ項目

⑦ 最終整理・調整・整形(業務フロー 書き方の仕上げ)

  • 視覚整形 … 整列・等間隔・1画面収まり・凡例/版数明記
  • 文言統一 … 時制・略語・表記ゆれの統一
  • 版管理コード_業務名_v1.0_YYYYMMDD+変更履歴
仕上げの一言
「誰が見ても同じ手順で実行できるか?」を自問し、必要なら1行リライト。

よくある疑問・FAQ|業務フロー 書き方でつまずくポイント

Q1: どこまで細かく書くべきか?

目的に合わせて粒度を変えます。すべて詳細に描くと肥大化し、読まれません。

  • 改善・分析 … 1〜2分で完了する単位まで分割
  • 教育・共有 … 「誰が・何を・なぜ」を明示、操作は手順書へ
  • 要件定義 … データ項目・入出力・判断条件を詳細化
ポイント
目安は1ページ15〜25ステップ。2文超なら別図。

Q2: 分岐が複雑すぎて見通せないときはどうすれば?

  • 方法① … 主経路のみ本流に、例外は別図/注記
  • 方法② … サブルーチン化+接続子
  • 方法③ … 分岐表(デシジョンテーブル)で条件管理
ポイント
「主筋を10秒で理解できるか?」で設計する。

Q3: フローと業務マニュアルの使い分けは?

項目 業務フロー 業務マニュアル
目的 業務構造の理解・改善・標準化 具体的操作の再現
内容 処理・判断・入出力の関係 画面、入力項目、注意点
対象者 管理者・改善担当・関係部門 実務担当者・教育担当
形式 図(スイムレーン) テキスト+スクショ
ポイント
結論としては、フロー=何を、マニュアル=どうやるか。で整理。

Q4: フロー図が古くなる・更新できないという問題への対応

  • 更新ルールの文書化 … 改訂トリガーを定義
  • 担当者の明確化 … 部門ごとにプロセスオーナー
  • 改訂プロセス … 改訂申請→レビュー→承認→公開
  • 更新サイクル … 半年/年1回の棚卸し

前回版との比較表を残すとトレーサビリティ確保に有効。

Q5: 複数パターン(例外・オプション対応)をどう整理すべきか?

  • 方法① … 通常版と例外版を分けて2枚
  • 方法② … 共通部分のみ描き、特例は別図
  • 方法③ … 条件を表形式で管理
パターン 条件 承認ルート
通常案件 金額100万円未満 営業 → 上長 → 承認
特価案件 金額100万円以上 営業 → 上長 → 部長 → 経理
OEM案件 顧客指定仕様あり 営業 → 技術 → 品質保証 → 部長

【まとめ】業務フローの書き方のポイント総整理

いかがでしたでしょうか。本記事「業務フロー 書き方 完全ガイド」では、業務フロー図の基本構成から、作成手順、図形ルール、テンプレート活用、運用管理までを一貫して解説しました。業務フローは単なる図ではなく、組織の生産性・品質・共有文化を高める設計図です。まずは小さな業務から着手し、見える化→改善→定着のサイクルを実践してください。業務を“描ける化”することが、可視化の第一歩です。

要点サマリー

  • ポイント① … 目的と範囲を明確にし、粒度を統一して描く
  • ポイント② … 図形・記号・レーンを最小限にして読みやすさを優先
  • ポイント③ … 骨格→肉付け→整形の3段階で効率化
  • ポイント④ … テンプレート・チェックリストで品質担保
  • ポイント⑤ … 定期更新と運用設計で価値を維持

ABOUT US
市橋 憲茂
市橋 憲茂(株式会社サン・プラニング・システムズ)
【業務プロセスの可視化・改善で20年】業務の見える化、業務シミュレーション分析による業務改善を推進。営業、コンサルタントを経て、現在はその価値を発信するマーケティング部門の責任者として、業務可視化の重要性を広く伝えながら、企業の改革を後押ししています。