こんにちは。サン・プラニング・システムズ 可視化コンサルタントの鈴木 裕です。
先日公開したBPMNモデリングの3つのポイントについて、多くの反響をいただいています。ありがとうございます。
中でもBPMN図形の使い方についてはもう少し詳しく説明してほしいとの声を多くいただいています。今回はBPMN図形の中でも特徴的な性格を持つ図形の使い方について紹介をしようと思います。
疑問解決! ゲートウェイ図形の意味について
ゲートウェイ図形という聞きなれない名称の図形ですが、働きは一般的なフローチャートでみられる菱形の分岐図形と同じで、フローチャートの流れを分岐させる意味を持ちます。
ですが、BPMNではもう一つ重要な意味を持っています。それは「分岐を統合する」という意味です。
BPMNにおいては、フローチャートの流れは分岐よりも統合することに重点が置かれています。実際、BPMNのルールでは処理分岐時の図形は省略が可能ですが、統合時には必ずゲートウェイ図形を使用しなければなりません。
ゲートウェイ図形が複数個用意されているのはこの統合時の振る舞いに対応するためです。
3つのポイントで紹介した図形を例にとると以下のようにまとめられます。
今まで業務フローチャートを作成された経験がある方には、とても便利なものに思えるのではないでしょうか。
イベント図形はデータの出発点だ
業務フローチャートを作成された経験がある方は特に、イベント図形の必要性に疑問を抱くのではないでしょうか。一般的なフローチャートでは開始/終了を明示せずに記述することもあり、それでも特に問題にはなりません。
BPMNでイベント図形を使用しなければならない理由は、ルールで定められているからではありません。明確な意味があります。
BPMNは業務プロセスを記述するための記法です。この業務プロセスは必ずデータの受け渡しが発生します。つまり、業務プロセスフローを作成するときには何らかのデータのインプットを記述する必要があります。
このデータのインプットはメール等のメッセージであったり、時間であったりと様々です。
BPMNは終了イベントが一番重要だ
業務プロセスはインプットされたデータに対してアウトプットを出力します。アウトプットは具体的なデータであったり、承認や否認等の判断であったりと様々です。
このアウトプットが次のプロセスにインプットとして受け渡されることで、業務は流れていきます。
つまり、アウトプットが不明確だと業務プロセスフローが作成できなくなるため、必ず明確にする必要があるのです。
実際に業務プロセスフローを作成するとき、どこかで必ずプロセスの始まりと終わりを記述する必要があります。
このとき、記述したプロセスは「何をインプットとして開始」し、「どのようなアウトプットを出力して終了」するのかを明確にしないといけません。
このため業務プロセスフローの最初と最後には必ずイベント図形を記述する必要があるのです。
終了イベントを使いこなすものがBPMNを制する
私はイベント図形こそがBPMNの肝であると考えています。それは業務プロセスの終端として出力する情報と、後続の業務プロセスの振る舞いを決定するものだからです。
例えばプロセスAにおいて、途中で問題が発生して処理が中断したとします。このとき、プロセスAはエラー終了イベントを使用して終了する必要があります。なぜかというと、後続のプロセスにおいて、「問題が発生したときのプロセスB」が実行されるように情報を渡す必要があるからです。
具体的にはプロセスAが終了すると、後続のゲートウェイ図形がその結果を判断して「問題あり」「問題なし」それぞれのプロセスへ振り分ける処理を行います。
そしてプロセスBはプロセスAのエラー情報を受け取って処理を開始するのです。
ゲートウェイ図形やイベント図形の使い方は、私たちにはなじみが薄いため難しく感じるかもしれません。しかし、一度理解すればこれほどまで便利な図形は無いと感じられるようになるものでもあります。是非ともご活用ください。
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