「システム導入の為の現状把握」や「業務課題を改善する為の現状把握」等、業務の可視化を行う目的は企業によって様々ですが、多くの企業が業務フローを作成しています。
当然、作成した業務フローは「目的の為に使えるフロー」でなければなりませんが、業務フローを作成してみたものの、出来上がったフローが分かりにくく、使いものにならないというケースは珍しくありません。
本記事では、過去に実際にあったプロジェクトのとある業務フローを例に、良いフローと悪いフローの違いを解説します。
【実例を見て知ろう】良いフローと悪いフローの違いとは?
2つの業務フローの実例を挙げたいと思います。(部門名や作業名称は一部変更しています。)
【お題】2つの業務フロー(A・B)どちらがわかりやすいですか?
上記の図をクリックで拡大して見ることができます。(拡大するとよく分かります)
いかがでしょうか。AとBどちらのフローが分かりやすいでしょうか。もう少し厳しく言うならばどちらが「見る気になる」フローでしょうか。
ほぼ全ての方がBのフローの方が良い印象を持たれると思います。この2つのフロー、実は全く同じ業務を表しています。これらはある企業様の人事採用のフローで、Aのフローは「業務のことは現場の担当者が一番良く知っているはずだから、現場に書いてもらおう」とツールだけ渡して書いてもらったものです。
Aのフローを作成した担当者は、しっかりと自分の業務を正確に表現したつもりですが、他の人からは分かりにくいものになってしまいました。実際にはこのAのフローだけでなく、他の大半のフローがこのような分かりにくいものでした。
「作成者以外の人が見て、よく分からないフローでは意味が無い」とのことで、業務可視化・業務改善を支援しているサン・プラニング・システムズ社に相談されたそうです。そして、同社からのアドバイスを受けて改めてお客様が書き直したものがBのフローです。
悪いフロー=分かりにくい業務フローになる3つの原因
悪いフローを「よく分からない」と表現しましたが、なぜ分かりにくくなってしまうのか、その原因は大き分けて以下の3つです。
【原因1】どこから始まっているか分からない
Aのフローではその業務がどこから始まっているのかが分かりません。
一方、Bのフローは誰が見てもどこから始まっているか一目瞭然ですね。開始場所が分かることで、そのフローを見ていく取っ掛かりになり、スムーズに読み始められます。
【原因2】業務の流れがわからない
Aのフローでは、多数の接続線が複雑に交差していて、それを追うのも大変です。また、全体的にどういう順番で流れているのかも分かりません。
一方、Bのフローはほとんど接続線の交差も無く、分岐したそれぞれの流れを追うのも簡単ですね。また、分岐した流れがどこで合流しているか分かりやすく、その作業を始める為にはどこまでの作業が完了している必要があるかがすぐに分かりますね。
【原因3】条件により必要な処理がわからない
Aのフローでは、分岐図形でない図形から2つの接続線が伸びている箇所がいくつか有ります。これではどういう場合にどちらの流れに進むのか分かりません。
【まとめ】良い=わかりやすい業務フローを作成する為のポイント
良いフローとは「分かりやすいフロー」です。なぜなら、フローチャートの特長は「誰が見ても同じように情報を共有できる」ということだからです。この特長を活かせなければ、フローチャートとしての価値は有りません。前述の悪いフローの裏返しになりますが、良いフローにする為には、以下の3つが大事です。
【ポイント1】開始条件を明確にする
その業務が、何をきっかけに開始されるのかをはっきりさせることです。例えば「メールが届く」、「システムからアラートが発生する」、「定期的に実施することが決まっている(日次、週次等)」といったものです。
→ 解説記事公開しました
【ポイント2】流れ(時系列)を明確にする
接続線が出来る限り交差しないように各図形を配置するのはもちろんですが、時系列の関係性がはっきり分かるように意識して書くことが大事です。
【ポイント3】条件分岐を明確に
業務の流れが分岐する場合は、その条件を明確にする必要があります。分岐条件が明確でないと、フローの読み手にはその業務にどういうパターンがあるのか把握できません。
→分岐表現の解説記事を公開しました
ここで挙げた3つ以外にも、良い業務フローを書く為のポイントは有ります。ですが、これらは業務フローを書く上で非常に基本的なことであり、どのような目的でフローを作成する場合でも共通している大事なポイントです。
今後フローを作成する際には、是非これら3点を意識してみてください。
業務可視化NOTE 運営事務局 編集担当