内部統制の効率化を行うために必要な3つのポイントとおすすめのツールをご紹介

内部統制効率化健全な企業運営を行うために、管理体制を必要に応じて整備することを「内部統制」といいます。                  内部統制には、経営企画立案・取締役会の開催・組織再編など、社内管理に関する運営業務全般が挙げられます。

企業の不祥事に対する年々厳しくなる世間の目に対し、内部統制の強化によって法令遵守の意識を高めることは重要なことと言えます。しかし、多くの業務を抱えていると考えられる人事労務担当者の手が回わらずにいる企業は多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは内部統制の目的・手順・効率化する方法などについてご紹介していきます。

内部統制とは何を指しますか?

内部統制とは内部統制とは、企業経営に必要である様々な種類の業務を円滑に進めるために環境整備を行うことを指します。
では、内部統制の方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

それには健全な組織運営に必要な管理業務全般として挙げられる、社内規定整備・各種システムの導入・内部監査の設置などが挙げられます。

先にも述べましたが、年々企業の不祥事やコンプライアンス違反に対する世間の目は厳しくなり続けているのが現状です。ですから、内部統制を強化することにより、従業員の意識改革や資産の流出防止を目的としています。

4つの内部統制の目的

 

内部統制の目的2018年に企業会計審議会が公表した意見書によりますと、内部統制を構築する目的は以下4つに定められています。

● 事業活動に関わる法令等の遵守のため
● 業務の効率性と有効性の確保のため
● 財務報告の信頼性確保のため
● 資産の保全のため

事業活動に関わる法令等の遵守のため

内部統制を強化する重要な目的の一つには、企業の事業活動に関わる企業経営や労働関連の法律の法令遵守が挙げられます。

繰り返しになりますが、法令違反に対する企業への視線は厳しくなる一方のため、法律違反がマスメディアに報道された場合、社会的信用やブランドイメージが低下する恐れもあります。そうなると、その後の企業経営は非常に厳しい状況に追い込まれてしまいます。ですから、組織全体で法令を遵守するという意識を高めることが重要と言えるでしょう。

業務の効率化と有効性の確保のため

内部統制の強化には、業務の効率化と有効性を高めるという目的があります。
組織全体の生産性を高めることで、売上に結びつく業務を少ない労働時間で多く遂行することができます。

重要なのは、社内のコミュニケーションを活性化させることや業務プロセスをデジタル化するなどの、効率性と正確性を高める取り組みです。加えて、業務のプロセスを見直すことによって、業務の標準化を行えば、品質のむらや業務の属人化を防ぐことができます。

財務報告の信頼性確保のため

自社の利益配分や財務状況をステークホルダーに報告することを財務報告といいます。                    貸借対照表・キャッシュフロー計算書・損益計算書を作成して、ステークホルダーへ記載した内容を発表します。

財務報告の信頼性・透明性を高めることにより、取引先からの信頼や株主から多額の投資を獲得することができるため、それらはとても重要といえます。

資産の保全のため

「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つは企業経営において、重要な経営資源といわれています。
どの経営資源も、継続的な企業の成長や安定的な売上の確保を実現するためには欠かせません。

適切に資産を管理・運用していく体制を確立させることは、これまでに蓄積してきた資産を失わないために重要です。

6つの内部統制の構成要素

内部統制の構成要素内部統制は、企業会計審議会によりますと、以下6つの要素から構成されています。
● 統制環境
● リスクマネジメント
● 統制活動
● 情報と伝達
● モニタリング
● ITへ対応する

統制環境

内部統制を構築する上での土台である統制環境は企業文化に当てはまります。
正常に内部統制が機能している組織を作るためには、内部統制の目的や内容を従業員が正確に理解していなければなりません。

企業の理念・経営の戦略・経営者の意向など、企業が掲げるビジョンや目標に関する内容が統制環境には多く含まれています。
統制環境の質は従業員の意識へ大きな影響を及ぼします。そのため、統制環境の質は内部統制を構築する上で最も重要な要素とみなされています。
内部統制の構築や効率化を行う際は、統制環境の整備を重点的に実施しましょう。

リスクマネジメント

安定した企業運営を行うために、リスクマネジメントは重要といえます。
内部統制では、機密情報の漏洩や、コンプライアンス違反などの事業運営を妨げるリスクに関して分析します。
もしもリスクが発生した場合、企業にどの程度の悪影響や損害額が発生するかを把握し、解決策を立てます。

また、リスク回避についてやダメージを最小限に抑えるためにどのような行動が必要かを、組織全体で共有しておくことは重要といえます。

統制活動

統制活動は社内で確実に経営者の指示や業務命令が反映され、業務を指示通りに遂行するための仕組み作りです。
業務をスムーズに進めるため、業務マニュアルの整備や、管理職への権限を付与することや、業務内容の分担などの環境整備を行います。

また、統制活動は従業員同士の役割を明確にするのはもちろん、不正行為を未然に防ぐ役目もあります。互いの仕事ぶりを監視する効果が業務の分業化によって働くためです。
もしも規律違反行為や不正行為が発生したとしても、素早く対処することができます。

情報と伝達

情報の伝達は、社内や社外に発信しなければならない情報の識別・把握・処理がなされて、ステークホルダーへ情報が正しく伝達されている状態を指します。
経営者からのメッセージは、新事業への参入や組織の再編など、外部の関係者にも正確に素早く伝える必要があります。

しかし、スムーズに経営者や株主とコミュニケーションが取れない場合には、情報共有や意見交換ができません。
情報を見分けて発信するまでに至る工程の整備に加えて、伝達手段をどうするかが重要になります。

また、顧客情報、取引先とのやりとりや従業員の個人情報などの機密情報の取り扱いも情報と伝達には含まれます。
機密情報の流出は、顧客や取引先からの信頼を失うため、細心の注意が必要です。

モニタリング

モニタリングは、正常に内部統制が働いているかを確認する機能です。
改善点が業務プロセスで見つかった場合、社内会議で発表し、課題を共有し改善を図ります。
業務プロセスに会議で決まった解決策を反映し、課題の解決に至るまで、フィードバックと継続的な評価とを行います。

また、不正がモニタリングで行われるようなことがあった場合、どのような対処をするのか決めておくことも重要です。

ITへの対応

ITへの対応とは、業務の工程をデジタル化することです。各種システムを導入すること、クラウドサービスを活用すること、業務マニュアルを電子化することなどが挙げられます。効果的にITツールを活用するなら、円滑な情報共有や業務効率化に繋がります。

大きなメリットを内部統制や企業経営にもたらすため、ITへの対応力向上は今後ますます重要になるといえます。

内部統制の効率化の手順

内部統制化の5つの手順

内部統制を効率化する上での手順と内容を以下に表としてまとめました。

表:内部統制の効率化の手順

手順 内容や特徴 備考
1.方針策定 ・取締役会で決定された内容の反映が前提
・部署や業務、機能単位での決定事項の反映
・全社や部署、業務単位での責任者の配置
・評価の範囲や管理体制やスケジュールの確認
・内部統制の基本方針は、会社法に基づき、取締役会で決定
2.現状把握 ・暗黙の了解となっている内容や既存の慣習を可視化
・業務、部署単位で可視化した、リスクの分析と評価
・企業が多大な損害を被るリスクを重点的に評価
・内部統制の整備に関する状況の記録、保存は後で確認できるようにするため、徹底
3.評価 ・策定した統制内容のルール化と運用
・定期的に運用状況を記録
・業務や決算財務報告レベルなど、各担当者の報告に基づいた運用の効率性や有効性を評価
4.見直し ・評価により可視化した課題への改善策を検討
・新たな処理プロセスは、報告書へ記載
5.報告 ・内部統制報告書を作成する

内部統制の構築と効率化は、上記のように、簡単な作業ではありません。長期的な視点での再構築を進めてください。

内部統制の効率化の3つのポイント

内部統制の3つのポイント以下に挙げた3つのポイントから、内部統制の見直しや運用の効率化を図ることができます。

● 現状の内部統制の機能がなされているかを確認する
● 業務に関連する書類を作成し、必要に応じて修正を行う
● 内部統制の運用プロセスのデジタル化を行う

現状の内部統制が機能しているかについて確認する

内部統制が正常に機能しているか、どの部分に課題を抱えているかを正確に把握することは、効率化のためには重要です。
課題が曖昧な状態で再構築に移行しては抜本的な対策は立てることができません。その場合、内部統制が機能不全な状態が続き、不正行為の発生が起きやすくなってしまいます。
統制環境の質に問題はないか、統制活動は機能しているかなど、課題の把握に努める必要があります。

業務に関連する書類の作成及び修正を行う

内部統制の効率化には、業務記述書・フローチャート・リスクコントロールマトリックスを活用できます。
評価によって課題の可視化がなされた場合、新しい処理プロセスを作成します。作成した処理プロセスを下記の書類に書き込んでみましょう。

表:各種書類の特徴

業務記述書 フローチャート リスクコントロールマトリックス
概要 ・取引開始から処理に至るまでの一連の業務に関連する情報を記載 ・営業や経理など、部署ごとに業務の流れを図式化 ・業務上のリスクとリスクへの対応策を一覧化
主な記載項目 ・業務の内容
・手順
・実施者
・利用をしたシステム
・業務プロセス
・他部署との関連性
・注意点
・業務別のリスク
・統制内容
・リスクを回避するためのチェック項目
目的 ・危機管理
・業務内容の理解度の向上
・業務内容の理解度向上
・社内コミュニケーションの活性化
・無駄な工数の削減
・リスクマネジメント(危機管理)
・内部統制の重要性を認識

 

内部統制の運用プロセスをデジタル化する

オンライン上で内部統制の運用を行えるよう、ネットワーク環境の整備や各種システムの導入が必要です。
内部統制の申請・承認作業は、これまで紙書類を使ってきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅勤務を導入する企業も増えています。

従業員と企業、双方にとって在宅勤務はメリットの多い働き方です。
内部統制をオンライン上で運用できれば、運用の負担軽減も、手続きの簡略化も望めます。
反対に、紙書類での手続きを進めている限りは、書類の承認印をもらうためだけの出社が必要となります。
従業員への負担を効率化によって軽減できるよう、運用プロセスのデジタル化を進めることは重要といえます。

表:在宅勤務導入のメリット

従業員 企業
・通勤での心身の消耗を回避する
・自由な時間が増加する
・職場の人間関係でのストレスを軽減できる
・集中力の向上が期待できる
・育児や介護などとの両立可能性がある
・印刷費や管理コストの削減ができる
・ワークライフバランスの改善が見込める
・優秀な人材の流出を防止できる
・職場内クラスターの回避ができる
・自社のイメージがアップする

内部統制の効率化につながるツール

内部統制3つのツール内部統制の効率化やデジタル化の実現が可能なツール三点を以下に紹介します。
BPMツール
● ワークフローシステム
● クラウド型WRP

BPMツール

BPMツールは業務プロセスの可視化ができます。それにより、ミスの削減と業務の効率改善が実現できるツールです。
業務プロセスの全体像をモデリングによって把握し、業務プロセスの再設計や改善点の把握に努めます。

想定通り機能しているか、設計した業務プロセスの動作をシミュレーション機能で確かめます。
想定通り機能しない場合は、業務プロセスを再度見直しましょう。そして、業務プロセスの運用状況をモデリング機能によって監視します。

表:BPMツールの主な機能

機能 期待される効果
モデリング ・業務プロセスの可視化が可能 ・プロセス全体を把握する
・課題の可視化ができる
シミュレーション ・正常に変更した業務プロセスが動くかを予測 ・業務の効率を改善する
・無駄な工数を削減する
モニタリング ・業務プロセスの監視を行う ・設計した業務プロセスの完成度が確認できる
・必要に応じて業務プロセスを再設計できる

ワークフローシステム

ワークフローシステムは、オンライン上で社内の申請・承認作業が完結できるシステムです。
システム上に、経費精算書・見積書・契約書などの各種書類のフォーマットが搭載されています。

必要事項を記入し直属の上司に提出します。あとは事前に設定した承認ルートに従って処理が進められます。
不適切な承認ルートを設定した場合や承認のスキップをしては、処理が進められません。そのため、不正行為を未然に防ぎ、内部統制を強化することができます。

オンライン上で申請書作成から承認まで、一連の作業が完結でき、ペーパーレス化や効率化を進めることもできます。
また、紙書類への印刷・配布・回覧が不必要です。さらに、オフィス外からもシステムにアクセスできるため、有効的に隙間時間を活用することができます。

クラウド型ERP

クラウド型ERPは企業が事業を行う上で欠かせない販売管理・生産管理・人事管理などの業務を1つに集約したシステムです。
内部統制のプロセスを、財務会計や人事情報といった機密情報も含めて管理ができるため、オンライン上で運用できます。

また、予算に制限がある企業でも導入しやすい点がクラウド型ERPの特徴です。ソフトのインストールやインフラ環境を構築する必要はありません。月額費用の他の追加費用は、オプションやカスタマイズをしない限り発生しません。
さらに、ベンダーにメンテナンスやアップデートも一任できるので、ランニングコストの削減が可能です。

まとめ

業務効率化や法令遵守のために内部統制を行うのです。各部署での業務プロセスの無駄を無くして業務を標準化します。
業務の属人化やヒューマンエラーを防ぎながら、業務の迅速化を図ることができる点がメリットです。

業務記述書やフローチャートに、新たに設計した業務プロセスをまとめておきます。
また、企業経営に関する法令や機密情報の取り扱いについて学び、それにより、法令違反回避につなげるのも内部統制の目的です。

不祥事は、一度起きると、社会的信用や市場での優位性が低下するため、法令遵守の姿勢は組織全体で徹底する必要があります。
ですが、内部統制は確認事項や作業量も多いために、手が回らない企業も多いのではないでしょうか。

ぜひ、内部統制の構築や運用を、この記事で挙げたポイントやツールを参考して効率的に進めてください。

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