UiPath Orchestrator の特集記事も「導入のメリット」「ライセンス価格」に続き第3弾となりました。今回のテーマは主要機能の一覧からわかるUiPath Orchestrator のできることと題し、機能すべてを網羅しているわけではありませんが、一覧をベースに何ができるのかを解説していきたいと思います。

UiPath Orchestrator 機能概要

UiPath Orchestratorは、全社的に展開されたRPA環境を少ない工数で安全・安定的に運用するための管理ツールで、以下の機能を提供します。

  1. ロボット構成管理
  2. シナリオ配布管理
  3. シナリオ実行管理
    ・スケジュール/オンデマンド実行
    ・実行停止
    ・実行履歴の自動収集と表示
    ・運用モニタリング
  4. 運用モニタリング
  5. セキュリティ/ガバナンス管理
    ・テナント/組織管理
    ・ユーザー/役割(ロール)/組織(ユニット)管理
    ・操作監査(操作履歴)
  6. 拡張機能
    ・ロボット利用資源管理
    ・キュー/トランザクション管理
    ・外部連携機能(RestAPI)

【UiPath Orchestrator 主要機能1】ロボット構成管理

UiPath Orchestratorでは、大量のロボットを効率的に管理するために環境(ロボットグループ)、ロボットの2階層でロボット構成を管理します。
また、環境(ロボットグループ)は、シナリオを配布する単位(プロセス)でも利用されます。

ロボット構成管理

ロボットの種類

【A】Attended Robot(アテンデッドロボット)

同ロボットは、通常利用者PC上にインストールし、利用者のオンデマンドな要求に応じて稼働が必要となるフロントオフィス的な業務に適応する【有人/半自動型ロボット】となります。

また、同ロボットでは、同時に複数のシナリオ実行要求は行えず、利用者が前のシナリオ実行が完了次第、順次起動要求を行う必要があります。

【B】Unattended Robot(アンアテンデッドロボット)

同ロボットは、通常サーバー上にインストールし、UiPath Orchestratorと連携して、スケジュールや管理コンソール/APIなどから実行を行うバックオフィス的な業務に適応する【無人/全自動型ロボット】となります。

また、同ロボットは Orchestroatorを介して同時に複数からの実行要求を受け取ることが可能で、ロボット1台当たり同時に1シナリオずつ順次自動的に実行していくことが可能です。

さらに、複数ロボットを割付けることにより、ロボット分多重に実行することも可能です。

【C】Studio Robot(スタジオロボット)

開発環境であるStudioに内蔵されている【検証用ロボット】で、通常は 【有人/半自動型ロボット】の動作が検証できますが、UiPath Orchestrator と接続することにより【無人/全自動型ロボット】 の動作の検証も行えます。但し、ライセンス上、本番環境としては利用できません。

高密度ロボット構成

Unattended Robotでは、 1OS上に1ロボットの通常配置も可能ですが、高密度ロボット構成として、1サーバーOS上のログインユーザー毎にロボットを配置し、1サーバーOS上に複数のロボットを配置することが可能です。

但し、同構成を行う場合もロボット毎にライセンスの購入が必要となります。

高密度ロボット構成

また、ロボットサーバーで2台を超えるロボットを実行する場合には、マイクロソフト社RDS(リモートデスクトップサービス)ライセンスが必要となります。

【UiPath Orchestrator 主要機能2】シナリオ配布管理

UiPath Orchestratorでは、Studioで作成・公開されたプロジェクト毎のシナリオをパッケージ(公開単位でバージョン管理を行う)として管理し、ロボット構成に従って、各ロボットへ配信することが可能です。

配信を管理するために、バージョン別のパッケージと環境(ロボットグループ)を関連付けるプロセスを定義することにより、バージョン別のパッケージとロボットの関連を管理します。

シナリオ配布管理

【UiPath Orchestrator 主要機能3】シナリオ実行管理

UiPath Orchestratorでは、日次、週次、月次などのスケジュールや管理コンソール、RestAPI経由による他ロボット、他システム、他プログラムなどからシナリオ(パッケージ)の実行を行うことが可能です。

シナリオの実行は、一旦環境(ロボットグループ)毎のジョブ待ち行列に入れられ実行ルールに従ったロボットへの割り当てが行われ、ロボットが動作可能な状態となった時点でシナリオの実行が行われます。

シナリオ実行管理

また、実行毎にシナリオの最大稼働時間を設定し、最大稼働時間以上に稼働した場合には、シナリオを停止させる機能(オーバーラン防止機能)も持っています。

確認停止(Stop)と強制停止(Kill)の違いについて

UiPath Orchestratorでは、動作中のシナリオを外部から停止させる方法として、確認停止(Stop)と強制停止(Kill)の2種類を準備しています。

確認停止(Stop)は、シナリオ内に動作停止確認アクティビティ(動作停止点)を設定し、UiPath Orchestrator より確認停止(Stop)要求があった場合、同アクティビティまで動作を継続し、同アクティビティにて停止を行う停止方法で、停止後の後処理などを実装することが可能となります。

但し、同停止方法では、シナリオ内に同アクティビティが設定されていない場合は、シナリオの動作は完了まで行われません(停止できない)。

強制停止(Kill)は、シナリオ内に動作停止確認アクティビティ(動作停止点)の設定いかんに限らず、UiPath Orchestrator強制停止(Kill)要求があった場合、その時点で動作停止を行う停止方法です。

但し、同停止方法では、停止後の後処理などが実装されていないので、再起動を行う前に手動で停止後の後処理を行う必要があります。

実行履歴の自動収集と表示

UiPath Orchestratorでは、各ロボットにて実行されたシナリオの実行履歴をOrchestratorのDBに自動収集し、目的に合わせたロボット単位、シナリオ実行(ジョブ)単位、スケジュール単位に実行履歴を確認することが可能です。

また、オプション機能であるElasticsearch/kibanaをご導入いただくことにより、ElasticsearchDBに実行履歴を格納し、全文検索を行ったり、各種グラフ表示を行うなど、自在な実行履歴管理を行うことが可能となります。

実行履歴の自動収集と表示

【UiPath Orchestrator 主要機能4】運用モニタリング

UiPath Orchestratorでは、組織(UNIT)毎のプロセス、ロボットなどの登録数、ロボット/ジョブ稼働状況、トランザクション状況推移、アラートなどの情報をビジュアルに表示するダッシュボード画面が利用可能です。

運用モニタリング

Error/Fatalレベルの重度なアラートについては、アラートが発生時点でメール通知を行うことも可能です。

【UiPath Orchestrator 主要機能5】セキュリティ/ガバナンス管理

テナント管理

テナント管理は、UiPath Orchestratorで管理されているライセンス、ユーザ管理/権限、組織、シナリオ、ロボット環境/配置、スケジュール、稼働状況、実行履歴情報、ロボット利用資源情報、 Queue/トランザクションなどの各種情報を分離管理を行うための仕組みで、テナントを分離することにより他テナントから全ての管理情報が遮蔽されるため、セキュリティが要求される事業部などの管理情報を他部門から独立的に行うことが可能となります。

組織管理

組織管理では、上記テナント管理配下にてロボット環境/配置、スケジュール、稼働状況、実行履歴情報、ロボット利用資源情報、 Queue/トランザクションなどの各種情報を分離管理を行うための仕組みを持っており、組織を分離することにより他組織から管理情報を遮蔽し、セキュリティが要求される部門などの管理情報を他部門から独立的に行うことも可能です。(1ユーザーが複数組織に所属することも可能です。)

組織管理

ユーザー/役割(ロール)/組織(ユニット)管理

UiPath Orchestratorでは、各機能に対しての操作可能範囲を組み合わせた役割(ロール)を定義し、利用者単位に役割(ロール)を割り当てることにより、利用者の利用権限管理を行うことが可能です。

また、利用者を組織(ユニット)に所属させ、組織(ユニット)に従属するシステム資源(ロボットなど)のみに限定した利用方法を設定することも可能です。

但し、利用者を複数組織に所属させることは可能ですが、組織毎の別ロールを割り当てることは、できません。

また、パスワードに関しては、難易度(半角大文字、小文字、数字、特殊文字の利用必須や桁数など)、変更周期、エラー時のロックアウト回数やロックアウト時間の設定も可能です。

操作監査(操作履歴)管理

UiPath Orchestratorでは、操作監査機能としてキーワード/コンポーネント/操作/対象期間/ユーザーなどの検索キーによる操作履歴一覧表示、詳細表示、CSV形式での一覧表のダウンロードなどが行える機能を提供しています。

操作監査(操作履歴)管理

【UiPath Orchestrator 主要機能6】拡張機能

ロボット利用資源管理

シナリオを作成する上で、ガバナンス/セキュリティや動作独立性(同一のシナリオを複数のロボットで並列に稼働させる場合や本番環境と試験環境などの違いをシナリオから独立)などの観点より、シナリオ内で利用するシステムのユーザーID/パスワードなどのクレデンシャル情報やシステムURLなどのシステム資源情報をシナリオ外部で管理する(シナリオを修正せずに外部から簡単に修正を可能とする)必要があります。

ロボット利用資源情報(アセット)は、上記を実現するための仕組みで、UipathではOrchestratorにてアセットと呼ばれる一意な名前と値をセットで管理する機能をシナリオ内から呼び出すことにより、実現しています。また、値の管理は、UiPath Orchestrator管理コンソールにて一元的に行われ、全体共通またはロボット毎に設定することが可能です。

ロボット利用資源管理

キュー/トランザクション管理

UiPath Orchestratorでは、 1データ処理単位のデータをキューに格納し、シナリオを多重に分散させて、一連の作業を高速に実行させることが可能となるトランザクション方式の実行をサポートしています。

例えば、従来のシナリオで、「メールを読んで対応する処理を行うを繰り返し行う処理(A)」を例にしますと、トランザクション処理では「メールを読んではキューにデータを書き出す処理(A1)」と「キューからデータを読んで1件分の対応する処理(A2)」を分離し、さらに「キューからデータを読んで1件分の対応する処理(A2)」を多重に実行することにより、高速に業務を実行することが可能となります。

キュー/トランザクション管理

また、キュー上のデータは、処理完了後も保存されるので、処理データの証跡としても活用できます。

外部連携機能(RestAPI)

UiPath Orchestratorでは、 外部から全ての操作を連携させるためRestAPIを提供しています。

現場運用にて、セキュリティ/操作面にてUiPath Orchestratorのコンソール画面を利用するのが難しいような場合、同APIを利用した簡単なアプリケーションを作成することにより、現場での運用を軽減させることが可能です。

また、貴社他業務/管理システムなどと連携させることにより、より高度な貴社独自の運用環境を構築することも可能です。

尚、APIの詳細については、「UiPath Orchestrator APIガイド」をご参照ください。

UiPath Orchestrator APIガイド

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UiPathの代理店の中には、ロボットを制作・実行させる「UiPath Studio」をはじめとしたクライアントインストール型の開発ツールについては詳しいけれども、統合管理ツール「UiPath Orchestrator 」は導入した実績がないという代理店もあったりします。

UiPath Orchestrator を検討している企業も、これからRPAを全社展開するにあたって管理機能も重視したいとお考えの企業も、まずはUiPath Orchestrator の導入実績のある正規販売代理店に相談することを推奨しております。

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当サイトにお問い合わせがあった際には、UiPath Orchestrator の導入実績のある株式会社サン・プラニング・システムズをご紹介しております。

同社は、UiPath Studioの単体販売をはじめとして、UiPath Orchestrator の販売や導入支援サービスを提供。UiPathによるRPAシステム全体の構成設計・導入やバックアップ・システム監視などの付帯システムの設計・導入や、運用ルールや標準化の策定支援、シナリオのテンプレート/部品作成、ロボット作成など、UiPathによるRPA導入・展開・運用など幅広い範囲で各種支援を行っている正規販売代理店です。

お問い合わせの際には、下記の窓口までお気軽にご相談ください。

UiPath Orchestrator に関するご相談/お問い合わせ窓口

株式会社サン・プラニング・システムズ
RPA推進室 担当:稲富・吉田
Email: rpasales@sunplanning.co.jp
TEL: 03-5778-1242

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