【RPA導入の失敗事例】RPA化でよくある失敗例の原因と対策は?

ビジネスシーンで注目されているRPA(Robotic Process Automation)とは、ソフトウェアロボットで日常のPC作業を自動化していく仕組みです。成功すれば、大幅に業務効率が高まり企業の生産性が上がります。一方で、RPA化の失敗事例も少なくありません。

この記事では、RPAの失敗例を挙げながら代表的な原因と具体的な対策について解説していきます。

原因1.業務整理(BPM)ができていないとRPAは失敗しやすい

業務整理(BPM)ができていないとRPAは失敗しやすい

BPMとは「Business Process Management」の略であり、日本語では「業務整理」とも呼ばれています。BPMは企業の業務効率化において大きな役割を果たします。なぜなら、企業が抱えている業務を細分化し、細分化された業務それぞれがどのように結びついているのかをはっきりさせるからです。BPMを行うことにより、該当業務に含まれている問題点や無駄がはっきりさせ、見つかった問題点や無駄を対応した上で、必要とされる作業の中でどの部分をRPA化するのかを検討していきます。

BPMはRPA導入前の必要作業であり、この作業が抜け落ちているとプロジェクトは失敗しやすくなります。

もしBPMが十分になされていなかった場合、RPAに即した作業手順の変更や作業内容の見直しが行われていないためRPA化可能な作業部分の分断(細切れ)が起こり易くなります。すなわち、人間が行う業務作業とRPA化可能な作業部分業務が細切れに実行されてしまうので、効率的にRPA実行ができなくなってしまいます。

たとえば、電話オペレーターの仕事をRPA化する場合、顧客との電話対応だけ自動化しても、他の業務が残っている状態です。通話履歴を保管し、案件ごとに分類する作業までロボットが行ってくれないと、人間の負担は軽減されません。

さらに、本来RPA化可能な作業部分がRPA化から取り残されてしまうこともありえます。本来正しくRPA化を進めていけば多くの業務をロボットに任せられるのに、それが可能かどうかの判断ができていないために多くの仕事量を人間が担い続けなくてはならなくなってしまします。

この場合、業務の細分化がそもそもなされていなかったり、深く仕事を掘り下げていなかったりすることが考えられます。いずれにせよ、理想的なRPAにたどり着くためには、事前準備が大切だといえるでしょう。

原因2.組織全体でRPAの目的を共有できなかったケース

組織全体でRPAの目的を共有できなかったケース

一部の従業員だけがRPAの目的やメリットを理解していても、導入はスムーズに行えません。また、一般的な事業会社では、RPA化対象業務の1つ1つはそれほど多くの導入効果を発揮することができないため、より大きな効果を発揮させるためには現場の理解を深め、より多くの業務をRPA化対象とする必要があります。

一般的には、RPAの効果は、ロボットによる作業工数(人件費)の削減だけではなく、作業時間の短縮(ロボットは人間の何倍も高速に作業を実行する)や作業時間帯の変更(ロボットは営業時間外でも文句を言わず作業を行う)などにより、ビジネスサイクルを高速化することや業務品質の向上(ロボットはほとんど間違えない)により売上の拡大や顧客満足度の向上、さらに退屈な定型作業や間違いが許されない作業などの作業ストレスから従業員を開放することにより従業員満足度の向上などRPAに対する理解が進めば、従業員のRPAの必要性認識があがってきます。

さらにどのような作業がRPAの対象として向いているのかなどを、事前研修などによって理解を深めることも大切です。RPAの概要はもちろん、導入後の計画、従業員側のメリットなども丁寧に説明しましょう。

多くの従業員に周知を図るため、複数回にわたって研修を行い、従業員にRPAの理解を深めてもらいます。トップダウンで強引にRPA化を進めるのではなく、多くの従業員に「業務改善意識」が芽生えてはじめて本格的な業務の自動化に近づけます。

原因3.導入した範囲が狭すぎて導入効果がでない

導入した範囲が狭すぎて導入効果がでない

RPAを導入してもなかなかはっきりとした成果が出ないとき、注意したいのは「適用範囲」の広さです。RPAは特定の部署/職種にだけ導入しても大きな変化が現れません。結局はRPAを使っている一部の従業員の仕事が楽になっているだけで、その他の部署への影響がほとんどないだけではなく、開発するロボットの転用や流用などのスケールメリットが得られないため、開発・運用の効率が悪く、割高になってしまっています。

RPAを検討する際には、スケールメリットを得るためにも最終的には全社を対象にして計画を立てましょう。RPAは部署をまたいで利用するからこそ会社全体に決定的な変革を起こせるシステムでもあります。できる限り多くの業務をRPAに適応させるための工夫をしながら計画を進めていくことが肝心です。経理や人事などの特定バックオフィス業務の狭い範囲だけでなく、営業部門、企画開発部門などのフロントオフィス業務にまで視野を広げていきましょう。

さらに本社だけではなく、関連会社や支店にもRPAの導入を拡大していきましょう。本社だけでRPAを利用していても、関連会社や支店とのやりとりを手動で行うようでは非効率です。但し、それほどの大きなプロジェクトになれば、すぐに関連会社や支店が協力してくれるとも限りません。まずは本社のみでRPAを導入し、具体的なデータを計測するのもひとつの方法です。売上や残業時間、顧客満足度といった明確な指数を示し、「これだけ業務が改善された」と説得できれば納得性も高まると思われます。中・長期計画としてRPAの全社展開を進めていけば、将来的に貴社の企業力や同業他社への差別化を高めることが期待できます。

RPA導入は慎重に!失敗事例を参考にさらなるRPA導入を進めよう

これまでRPA導入に躓いてしまった多くの企業は、目的の共有化や導入手順、対象領域、運用方法などを十分見据えられなかったことが一因かもしれません。これからRPAに挑むのであればBPMや事前研修を怠らず、準備を徹底しましょう。そして全従業員で同じ方向性を共有できれば成功する可能性は高まります。

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